暑い季節を迎え撃つ【冷たい食べ物・冬の物語】

 私にとってとてもいいお題でございます。


 エッセイになりますけど。


 冷たい食べ物・冬――貧乏野宿旅にはつきものでございます。冷たい食べ物は温める手段がない or 面倒くさいから。寒いのは社会人がまとまって休みが取れるのが年末年始だからです。


 さて、私は自転車乗りですが、一時期、野宿を至上命題としていました。まあいろんなところでさんざん野宿したのですが、今回は食べ物と冬の寒さに絞って千葉――奈良――紀伊半島一周、1100キロの長旅を綴ってみることにいたします。


 さて、旅の目的ですが、奈良の大神神社にあるという高宮神社の磐座を見たかったからです。三輪山の中でのできごとは語ってもいけないし、写真を撮ってもいけないという場所ですので行ってこの目で見るしかないのです。


 しかし普通に新幹線で行ったのではつまらないと自転車&野宿旅としたのです。


 この時点でアホですね。


 12月28日スタート。昼間食べたのは、家から持ってきた冷凍してあった菓子・お惣菜パン。知的障害者の授産施設で作るパンが余っていたら買いだめするのがマイルールですので、その消費を目論みました。途中、バンジーコードで止めていたのに1コどこかに落としたのが悔やまれます。冷凍してあって年末の寒い時期でしたけど、だいたい解凍されていたのであんまり冷たくないですね。


 ほぼ東京の千葉を出発し、23区横断。箱根越えは飽きていたので国道246号で伊勢原・秦野経由で足柄、御殿場、そして沼津、ラブライブサンシャインだとはしゃぎつつ、何を見るでもなく走り続け、途中のスーパーの閉店間際に買った半額弁当で夕食。更にパンを買って、富士川河川敷のグラウンド脇で簡易テントを張って野宿。トイレがあって良かった。


 真冬でしたけど、そんなに寒くないのは羽毛の寝袋のお陰です。


 翌朝、パンをかじってスタート。


 ひたすら国道1号線。スーパーでパンを買い、ながーい静岡県を走り、半額弁当を食べ、愛知県豊田市赤坂宿で野宿。赤坂宿の資料館裏にベンチがあってそこで寝たのですが、いや、星は綺麗だし、年末だからか旧東海道にそって提灯は並んでいるし、実にジャパネスクで印象的でした。


 でも、当たり前ですが、ものすごく寒かったんです。ガクガク震えたんです。具合が悪くなって熱でも出したんじゃないかって思うくらい。


 しかしそれは、病気になったのではなく、ホントに単に寒かっただけなのです。面倒くさくて簡易テントも設営しなくて本気で星空の下に野宿したのが悪かった~。反省してます。


 まだ暗いうちにまたパンをかじってスタート。近所の人に見つかりたくないからです。温かいもの食べてないじゃないって? そうですね。コンビニコーヒーしか温かいものをとっていません。だって走っていれば寒くないんですもの。


 名古屋入りして、何百グラムか盛ってぴったり指定の重量だったら無料になるというカレーを食べ(もちろん外しました)、久しぶりに温かいものを食べました。


 名古屋メシ、美味しいものいっぱいあったのにね。


 いっぱい看板があったあんかけスパゲッティって美味しいのかしら。


 名古屋在住のカクヨム民、教えてください。


 美味しいから、食べないで損したねってコメントお待ちしております。


 さて、名古屋を出て鈴鹿、伊賀越え、真っ暗な峠でアジア系の若い外国人3人がサンダルで峠越えをしていて心から心配になりました。お国では真っ暗が当たり前なのかもしれませんが、サンダルは止めようよ。


 そして雨予報だったので一気に奈良盆地まで走り抜ける決意をし、途中のスーパーで半額ののり巻きを食べて走り出し、雨がポツポツと降り出した午後12時、JR三輪駅に到着。地域猫が何十匹といる中、無人駅なのをいいことにもうダウン。そこで即死。屋根があるので温かかったです。最終列車があとから来ましたけど、誰も降りてきませんでした。よかった。雨の中、簡易テント野宿とか撤収も大変だし、きっと死ぬほど寒かったはずです。あと駅にフリーWIFIがあったの嬉しかったです。


 翌日、雨の中、三輪山を登頂しました。詳しいことは書けませんが、雨の中、雨具はポンチョ1つで本当にガタガタ震えながら帰ってきました。いやあ、マジ死ぬほど寒かった。何しろ軽装なので。


 そして麓のお店で食べた温かい三輪そうめんの美味しかったこと。


 そして外で三輪コロッケを食べているときにお店の人にどこから来たのか聞かれ、ああ、言葉が違うんだなとようやく実感。走ってくると時間も距離も地続きなので実感がないんですな。


 三輪駅で雨宿りをし、雨が上がったところで目的を果たし、気ままに先に向かいます。目的はないので本当に適当です。


 高野山を目指し(孔雀王大好きだったんです)、あまりの寒さに参拝を断念し、和歌山まで走り抜き、和歌山ラーメンを食べます。1軒目があまりにも独創的な和歌山ラーメンだったので老舗の店でも食べました。ラーメン2杯。軽く行けました。


 そしてようやく銭湯もあり、お風呂に――筋肉痛が染みます。


 コインランドリーで洗濯している間に雨が降り始め、橋の下で雨宿りしている間に朝が来てしまいました。ガマンしきれずに寝てしまいましたけど。もう完全にこれは野宿ですらないです。緊急避難ビバークでした。


 翌朝はコンビニでパンとコーヒー。


 一路、紀伊半島を南下。


 大晦日の売り切りセールをしているところでまた半額弁当で夕食。周囲に全く民家のない公園で野宿。簡易テントを張りましたが、これまた寒くて外に出られない。持っているものを全部着込んでもダメ。間違いなく零下でしたね~~ 実際、サイコンの温度計はマイナス3度でした。


 翌朝、コミュニティFMに出演。これはまた別の機会に。


 白浜で有名な海に面した露天風呂に入り、元旦からやってる奇特なドライブインでアジフライ定食を食べ、スポーツ自転車用のポンプもあったので空気を入れさせて貰い、休む事なくスタート。

 

 那智勝浦の湯川で駅泊。おまわりさんに寝ている最中に、寒くない? と聞かれたのと、朝、犬の散歩にきた方と話し込んだのは覚えています。


 やっぱり建物の中は温かいです。


 さて、明るくなってドラッグストアでパンを買い、伊勢神宮を目指します。


 途中、また野宿しようかなと思いつつも何故か走ってしまいます。


 元旦の夜中でもやっているこれまたすごい定食屋でカツ丼をいただき、赤味噌の味噌汁が温かく、実に身体に染みこむ。


 そして翌2時に伊勢神宮入り。


 ほとんど無人の伊勢神宮にお参りし、コンビニで荷物を宅急便で発送。大体の荷物がなくなり、自転車を輪行状態にして、ポンチョ1つで伊勢駅のシャッターが開くのを待ちました。


 2時間以上、寒い中、待っていました。


 疲れ果ててて動く気になれなかったのです。ハクキンカイロがあっても寒かったです。


 その後は在来線を乗り継いで千葉まで帰りましたけど、2.5キロ痩せてました。


 うお。


 こうやって書くと温かいものって、1100キロ5日間も走って、カレーと素麺(温麺)とラーメンx2とアジフライとカツ丼しか食ってねえ!


 1日3食中2食はパンと冷たい弁当だ!


 今更気がついて愕然とするのでした。


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