『白い家』 その4


 しかし、ぼくはやはり、少し休もうと思った。


 そうして、これから、どうすべきか考えよう、と。


 それには、多少危険でも、家の中に入るべきだろう。


 ただし、念のため玄関は開けておく。


 いや、もしかしたら、閉めてしまったほうが、楽かもしれないな、とも思わないでもなかった。


 あたりの景色に動きはない。


 まるで、ダヴィンチの絵画のように、静止している現実だ。


 そういえば、ここには、道が見えないのだ。


 たったひとつ見えている道は、丘の下から上がってくる小道だった。


 ただし、丘の下がどうなっているのかは、ここからは判らない。


 つまり、ぼくには、この道を下りてみるという選択肢があるのだ。


 先に選択肢が複数あるのというのは、多少の安心感につながる。


 しかし、迷いをも、生じさせる。


 選択肢のない人生は、迷いを生まない。


 

      🛣️


 

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