『白い家』 その2


 呼び鈴には、あきれるくらいに、回答がない。


 回答がない呼び鈴に、なんらか、意味があるのだろうか?


 誰もいないということか。


 しかし、鍵は掛かっていなかった。


 鍵が掛かっていなくても、勝手に入ると、違反だろう。


 しかし、ドアを開けてみると、玄関にはこんな立て札が置かれていた。


 『どうか、ご自由に。もし、必要ならば、鍵をかけてくださいね。でも、1度鍵をすると、2度と玄関から出入りができなくなります。あなたが、消えるまでは。開けたままならば、いつでも自由に出入りできます。ただし、どなたでも、できます。』


 ならば、もしかしから、誰かが住んでいるかもしれない。


 あるいは、利用しているかもしれない?


 でも、そんな、オカルト映画みたいなことがあるだろうか。


 博物館だろうか。


 ああ、しかし、ここは、心に染み入るように静かだ。


 自動車の音も、電車の響きもないし、鳥も鳴かない。人影はない。


 風は吹いても、音にはならない。


 嵐は、来るのかな。


 地震は、あるのかな?


 そもそも、いったい何処なんだろうか。


 ぼくは、取りあえず、白い家の周囲を見て回ることにしたのだ。


 

      🏠️


 


 


 

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