第2話太陽

 あれから数日が経った。


「ちょっと出掛けてくる。」


 英之は日香里に断ると誰かに誘われるかのように日香里の家をあとにした。


 (俺は何処に向かうつもりだ・・・まぁ〜いい。)


 身体の赴くままに英之はが向かった先は古ぼけた書店の前だった。


 書店の中を見渡すと1冊の本を手にした。すると・・・


 「ようやく来たね。」


 女性の若い店主が奥からやって来た。


 「その本を手にする事が出来るのは大天使ガブリエルだけよ。ねっ。英之。」


 「俺は記憶を大神ゼウスに消された。そして地上界へ落とされて人探しをしている。探している男だが、そいつが俺が何故地上界に落とされたのか?俺の記憶を戻す方法を知っているらしい。」


 「その男の居場所を知りたいのね。私は由香里。この本屋は人間には見えないの。天界の者しか訪れる事が許されない書店だから。」


 由香里は英之に近づき、英之が手にしている本を見ると、


 「この本の中に貴方の探している男はいるわよ。」


 「この本の中に?」

  

 その瞬間、英之と由香里はその本の中に消えた。


 (此処は何処だ。)

 

 タロットカードの絵柄に似ている景色が広がっていた。


 「此処はタロットカードの中よ。」


 由香里は大きな羽を広げた。


 「ラファエル。お前は大天使ラファエル。何故地上界に居る。このタロットカードの世界に俺が探して居る男は居るのか?俺の記憶のありかはあるのか?」


 「さぁ~私にもわからないわ。だけど、大神ゼウスに貴方をこの世界へ案内しろって言われたの。だから多分何らかの手がかりはあるはずよ。」


 ラファエルはガブリエルの幼馴染みで親友である。


 ふたりはこのタロットカードの世界で英之の命の恩人の探し当て記憶を取り戻す為の旅路を始める事になる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る