第3話 大蜘蛛の正体
ポーラの的確な援護により、あの大蜘蛛には難なく近寄る事が出来た。
大蜘蛛の口の中には、あの女、月城を犯していた女がいた。
白っぽい半透明の体は疑似霊魂なのだろう。
先ほど大穴が開いた胸部は殆ど復元されており、後ろ側に垂れ下がった頭部を自身の両手でつかんで胸の上に据える。破壊された頸部もみるみるうちに復元され、あの女の体は元通りとなった。
首を左右に振り髪を振り乱しながら女が叫んだ。
「お前は何者だ! この亜空間に何で入りこめた!」
「さあ?」
私は光剣を構えて大蜘蛛へと走り寄った。そして手りゅう弾を掴むとピンを口にくわえて抜き、大蜘蛛の口の中へと放り込んだ。私はそのまま走って大蜘蛛の腹、白い触手が伸びている部分へとたどり着く。その瞬間にズドンと手りゅう弾が爆発し、大蜘蛛の動きが止まった。
私は光剣で大蜘蛛の脚部を切り落とし、白い触手が伸びる腹部へ光剣を突き刺した。そしてそのまま剣を右横に薙ぎ払う。そこから白い体液が周囲に飛び散り、その中からうねうねと動く触手が伸びてくる。
「まだ生きている……ポーラ。ここが主砲で狙えるか?」
「はい、狙えます」
「榴弾をぶち込め」
「了解、マスターは伏せてください」
私が伏せると同時にマルズバーンが主砲を発射した。私が作った傷口に命中したのだろう。バンという破裂音と共に、固い外皮の破片と柔らかい触手が私の背に落ちて来た。
「マスター。お怪我は有りませんか?」
「大丈夫だ。問題ない」
そう返事をしたものの、触手の切れ端と白い体液を被って濡れそぼっている自分は、相当な不快感み見舞われている。悪臭が酷く嘔吐しそうなのだがここは我慢だ。
大蜘蛛の腹の上部は吹き飛んでおり、中身が全て見えていた。白いゲル状の管や内臓のようなものの中に、青白い人間が横たわっていた。そいつは全裸だったが、体中に細い管が繋がっていた。
私はぐちゃぐちゃの内蔵に腰まで浸かり、そいつの傍へと近寄った。色白の美女なのだが、体中から伸びている白い管が病的な印象を与える。そして、白い触手はこの女の体の上を這いまわり愛撫していた。その都度、女は淡い吐息を吐く。
男の精を集める事で機能を維持してきたのだろう。こんな異界で兵器に閉じ込められた人間の末路とは虚しいものだ。
私は光剣を構え、その女の心臓へと突き刺した。
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