彼女の母親は瑠美子と言った。彼女の母は彼女を溺愛しており、彼女の事を「瑠璃ちゃん」と呼んでいた。私の母との仲も良く、楽しそうに遊ぶ私達を尻目に談笑していた様子をどうしてか今でもたまに思い出す。月に1回程だった彼女と遊ぶ約束は母達のおかげもあって段々頻度が多くなり、気がつけば私は毎日のように彼女と遊んでいた。彼女の家は広かった。なんでも父親が医者らしい。私は彼女の父親を見たことがないが、母親にはあまり似ていないことから、きっと彼女は父親似なのだろうと思っている。もしそうなら、彼女の父親は相当の美形に違いない。是非お目にかかってみたいものだ。それから彼女には、兄が1人いた。彼女とは3歳差で、これもまた、顔の綺麗な子供だった。彼女の兄とは数える程しか言葉を交わしたことはないのだが、彼女と顔も雰囲気もよく似ていた。なんだか声の質まで似通っているような気がしたくらいである。だがしかし、彼女とよく似た彼女の兄に、私はさほど惹かれなかった。彼女の事を初めて見た時のような衝撃は無かったし、異性として彼女の兄へ特別な感情を持つこともなかった。やはり彼女は特別な存在なのだと、私は信仰心にも似た何かを持っていた。
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