第66話 エルフの女の子を救え
「なん⋯⋯だと⋯⋯」
土煙が晴れた中、
その光景に驚きを隠せない。元より耐久力が高かったのか、それとも
「くっ!」
俺は
このまま戦うのはきつそうだ。リズ達も無事逃げ切ったみたいだから、この場から離脱しよう。
俺は立ち上がり、
もし攻撃して来たら防御に徹して、何とかやり過ごすしかないな。
だが俺の心配は杞憂に終わった。
「ふう⋯⋯」
俺はその様子を見て、ため息をつきながら座り込んでしまう。
「とりあえず何とかなったな」
何故逃げたか理由はわからないけど助かった。
考えられるのは黒い魔素で魔法を防いだように見えたけど、全てを防ぐことが出来ず、ダメージを負っていたという所か。
それ以外に見逃してくれた理由が思いつかない。
このまま寝っ転がって休みたい所だけど、いつ戻って来るかわからないから、ここはすぐにリズ達を追いかけた方がいいな。
俺は立ち上がり、リズ達が向かった東へと向かった。
「さて、目で見える範囲にいればいいけど」
俺にはマシロやノアのように、遠くの気配を探知するスキルや魔法はない。
たぶん
迎えに来てくれると助かるけど。
俺は当てもなく東側へと向かう。
すると黒いものが少しずつこちらに迫っていることに気づいた。
「ノア」
「ユートさんご無事ですか?」
「何とかね。倒すことは出来なかったけど。それよりリズやあのエルフの子は大丈夫?」
「リズさんは大丈夫ですけど、エルフの人はとても具合が悪そうです」
魔素の影響か? もしかしたらリズの側にいれば、体内に入った魔素を浄化出来るかもと思ったけど無理だったようだ。
「わかった。俺が何とかするから連れて行ってくれ」
「はい!」
俺はノアに続いて東にある森へと向かう。
すると茂みの向こうに、リズやマシロ達の姿を見つけることが出来た。
どうやらエルフの子はリズに膝枕をされているようだ。
「ユート様!」
「ノアから聞いたよ。エルフの子は大丈夫?」
「先程から脈も弱くなっていて、とても苦しそうです」
「わかった。後は任せて」
エルフの子は目も開けることが出来ない程、弱っている。とにかく体内の魔素を消し去らないと、この子の状態はよくならないだろう。
MPは残り少ない。後二つ魔法を使うのが限界か。
俺は左手に魔力を集めてエルフの女の子に向けて魔法を放つ。
「
エルフの女の子の身体が、キラキラと光始める。
そして数秒で光が収まると、エルフの女の子の呼吸は安定しているように見えた。
「とりあえずこれで大丈夫」
「よかったです」
リズはほっとしたのか、安堵のため息をつく。
「だけどまだ終わりじゃない」
「えっ?」
周囲には僅かだが、
俺はもう一つの魔法唱えるため、再び左手に魔力を集める。
くっ! これでMPはほぼゼロになるため、しばらく魔法を使うことが出来なさそうだ。
俺はエルフの女の子に向かって手をかざし魔法を唱えた。
「
エルフの女の子の身体が、うっすらだが光輝き始める。
「ユート様この光は⋯⋯」
「これはバリアのようなものだ。しばらくの間エルフの女の子は状態異常にかかることはないだろう」
「これで一安心ですね」
「だけどもうMPが空で、これ以上魔法を使うことが出来ない。一度この未開の地から⋯⋯」
「うぅ⋯⋯」
この時、エルフの女の子がうっすらと目を開ける。
どうやら意識を取り戻したようだ。
「ここは⋯⋯はっ!」
しかし俺達が視界に入ると突然険しい顔をして飛び上がり、距離を取り始める。
「あなた達はまさか⋯⋯人間!」
そしてエルフの女の子から、友好的ではない視線を向けられるのであった。
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