第15話

玲奈の勝利が決まった翌日、三田村香織と藤田涼介は、「平民食堂」で玲奈の勝利を祝うための食事を楽しんでいた。店内はアットホームな雰囲気に包まれ、木の温もりが感じられる落ち着いた空間だった。


香織は目の前に運ばれてきたハヤシライスを見て、心が弾んだ。「ここまでの苦労が、この一皿で報われる気がするわね。」


涼介も微笑みながら頷いた。「玲奈さんの勝利を祝うには、これ以上の場所はないよ。」


熱々のハヤシライスの香りが漂い、香織はスプーンを手に取った。トロトロとしたルーがたっぷりとかかったご飯にスプーンを差し入れ、一口運ぶと、濃厚なデミグラスソースの深い味わいが口の中に広がった。「美味しい……これが平民食堂の味なのね。」


涼介もまた一口食べて、満足そうに頷いた。「本当に美味しいな。香織、この事件が解決して本当に良かった。」


香織は微笑みながら、もう一口ハヤシライスを味わった。「玲奈さんも、これからは安心してゴルフに集中できるわね。」


その時、玲奈が店内に入ってきた。「お待たせしました。すみません、少し遅れてしまって。」


香織と涼介は立ち上がり、玲奈を迎えた。「玲奈さん、改めておめでとうございます。」香織が言った。


玲奈は照れくさそうに微笑んで答えた。「ありがとうございます。皆さんのおかげです。」


玲奈も席に着き、ハヤシライスを注文した。運ばれてきた一皿を見て、彼女もまたその美味しさに目を輝かせた。「こんなに美味しいものが食べられるなんて、本当に幸せです。」


三人は笑い合いながら、美味しい食事と共に、これまでの出来事を振り返った。香織はふと、次の依頼について思いを巡らせていた。


「ところで、次の依頼がもう来ているんです。」香織が切り出すと、涼介と玲奈は驚いた表情を見せた。


「次の依頼?それはどんな内容なんですか?」涼介が興味津々に尋ねた。


香織は少し微笑みながら答えた。「それが、少し変わった依頼なんです。詳細はまだ言えませんが、今までの中で一番難しいかもしれないわ。」


玲奈も興味をそそられた。「どんな依頼なんでしょう?私も手伝えることがあればぜひ。」


香織は少し考え込んだ後、真剣な表情で言った。「確かに、玲奈さんの助けが必要かもしれません。詳細は後で話しますが、これは簡単な事件ではありません。」


その言葉に、涼介も興味を持った。「面白くなりそうだな。香織、いつから取り掛かるんだ?」


香織は真剣な表情を崩さずに答えた。「今夜から始めましょう。準備を整えておいてください。」


三人の食事はその後も続き、和やかな雰囲気の中で、次の冒険への期待感が高まっていた。門司港の夕焼けが店内を暖かく照らし、次なる挑戦への決意が新たに胸に刻まれた。


香織の頭の中には、新たな事件の影がちらついていた。次なる挑戦がどんなものであれ、彼女たちは立ち向かう覚悟を持っていた。


そして、食事が終わり、三人は静かに店を出た。門司港の夜風が心地よく肌に触れ、新たな一日の始まりを予感させた。


「さて、次はどんな冒険が待っているのかしらね。」香織は微笑みながら、遠くの夜空を見上げた。


次の事件の幕開けを予感させる夜、二人の探偵は新たな挑戦に向けて歩み始めたのだった。

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