第7話

白鷺大学のキャンパスは、駅伝部の祝勝会の準備で賑わっていた。テーブルには豪華な料理が並び、選手たちの笑顔があふれていた。香織と涼介もその場に招かれ、チームの一員として祝いの輪に加わっていた。


「香織さん、涼介さん、本当にありがとうございました!」桐島が感謝の言葉を述べると、涼介は軽く手を振って答えた。


「いやいや、俺たちも楽しませてもらったよ。まるでサスペンス映画のようだったからね」


香織は笑顔で頷き、「でも、次はこんな事件がないことを祈りたいわね」と言った。


祝勝会のクライマックスには、桐島がレース前に食べた特製パスタのレシピが紹介された。大野シェフが自慢のパスタを作り、全員に振る舞った。


「さあ、これがあの特製パスタです!」大野シェフが声高らかに宣言すると、皆は興味津々でその一皿を見つめた。


「これが俺を倒したパスタか…」桐島が冗談めかして言うと、皆が笑い声を上げた。


「さあ、食べてみて!今回はアレルギー成分なしだ!」涼介がウィンクしながら冗談を飛ばすと、香織も微笑んだ。


「さすがに今回は問題ないわよね」と香織は安心した表情で言った。


全員がパスタを一口食べると、歓声が上がった。「おいしい!」「これが本当の勝利の味だ!」と選手たちが口々に言い、祝勝会はさらに盛り上がった。


その時、香織がふと思い出したように言った。「ところで、皆さん、次の駅伝大会にはどんな戦略を考えているの?」


桐島がニヤリと笑って答えた。「もちろん、特製パスタを食べて全力で走ることです!」


その言葉に皆が笑い転げた。涼介も腹を抱えて笑いながら、「それはいい戦略だな。香織、次の事件の依頼が来るまで、俺たちも特製パスタで体力をつけようか?」


香織も笑顔で答えた。「そうね。でも、次はもっと簡単な事件にしてほしいわ。例えば、失われたレシピを探すとか」


すると、大野シェフがふと真剣な顔で言った。「実は、秘伝のソースのレシピが行方不明になっていて…」


全員が一瞬静まり返り、香織と涼介は目を見合わせた。


「それはまた大事件の予感がするわね」と香織が言うと、涼介も苦笑いを浮かべた。


「まあ、その時はまた俺たちが力になるさ。でも、今はこの特製パスタを楽しもう」と涼介が言うと、皆が再び笑い声を上げた。


そして、祝勝会は再び盛り上がり、笑いと歓声に包まれて幕を閉じた。


その夜、香織と涼介は祝勝会の帰り道で、星空を見上げながら歩いていた。


「本当にいろいろあったわね」と香織が呟いた。


「ああ。でも、これが俺たちの仕事だからな。次の依頼が来るまで、少し休もうぜ」と涼介が答えた。


すると、遠くから一台の自転車がこちらに向かってやってきた。その自転車に乗っていたのは、見覚えのある郵便配達員だった。


「おっと、これは何かの始まりの予感がするぞ」と涼介が言うと、香織はため息をついた。


「次の事件が早くも来たのかしら…」


郵便配達員は二人の前で止まり、封筒を手渡した。封筒には「緊急」の文字が赤く書かれていた。


「休む暇なんてなさそうね」と香織が苦笑いしながら封筒を開けた。


その瞬間、涼介はにっこり笑って言った。「でも、香織、これが俺たちの生き方だからな。次の事件も、特製パスタの力で乗り切ろう!」


二人はそのまま新たな依頼を手に、夜の街を歩き続けた。

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