ルーツ:オタ&ダン・ジョーンズ

番外編として、オタとダンについてのプロフィールを皆様にお届けします。

ただ、紹介役がちょっと癖強いタイプです……

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 よお、お前たち。俺を覚えているか? 覚えてない?

 頭にクソが詰まってて覚えてないバカ共は最初から読み返してこい。……今読み返してみれば、俺は自己紹介もせずにアレコレ言ってたんだな。


 OK。改めて自己紹介させてもらおう。

 俺の名は『クリス・ブラドリー』だ。

 ぶっちゃけ覚えなくても困らない名前だが、人の名前を覚えるのが好きな奇特なヤツが居れば、クソまみれの頭の片隅に入れておいてくれ。


 さて、今日俺がここに来たのはそんな話をするためじゃない。

 この話を読んでいるお前らは、バカ共が派手に強盗を成功させるクソみたいな話を読んできたってことだろう。読み飛ばして、ここまで来たやつが居れば、この先も読み飛ばしてくれて構わないぜ。


 今日は、そんな強盗に参加している大馬鹿者どもを紹介していきたいと思うぜ。




 まずは今回の強盗の首謀者でもあり、チームのリーダー。

 頼りになる極悪主人公、オタの話からだ。


 こいつはインテリぶって強盗計画をしているが、その実は学のねぇスラム育ちだ。トゴメナのきたねぇ裏路地で生まれてる。トゴメナ地区は、ラメカールの中でも治安が悪いからな。

 賢く見えるが普通の計算やラメカールの歴史なんかには疎いぜ。


 もともとはただのチャイルドスラムのクソガキだったが、子供の頃から計算高くてズル賢かったから、大人相手にチンケな詐欺なんかをして暮らしてたらしい。そのうちスラムのガキ同士で徒党を組むようになって、いっちょまえにギャングなんかを名乗るようになりやがった。


 まぁ、調子こいてクソやべぇ仕事に手を出して、あっけなく捕まるんだけどな。

 逮捕されたのが5年前で、本当なら電気椅子に座ってるハズだったが……。


 知っての通り、ここは法がまともに成り立たないクソ国家。

 死刑台送りどころか、3年半とかいうクソ短い期間であっさり出てきちまった。しかも質が悪いことに、檻の中でもさんざん暴れてたらしい。……出てきたっていうより、追い出されたって言った方が正しいんじゃねぇか?


 そこからはお前たちが読んできたまま、ギャング時代に隠していた資産をごうつくばりの守銭奴に売り払ったり、つまんねぇ理由で借金してみたり、その返済のために東奔西走、四苦八苦ってところだ。


 改めて、コイツは孤児なもんで本当の年齢が分からない。いちおう、スラム時代の他のクズが言うには25歳ぐらいだろうって話だ。まぁ、まともな読み書きが出来ないガキでも日付の計算ぐらいだったらたやすいらしい。


 ……もちろん皮肉だぜ?


 誰と話すにしても飄々としてて薄っぺらい笑顔を張り付けてる。黒目黒髪って特徴だから周りはアジア人だと思われてるらしい。まぁ、本人は親の顔も覚えてねぇから、分かんねぇけどな。


 ラメカールは超多国籍国家でもあるし、アジアに限らずヨーロッパ人もアメリカ人も黒人も居るから別に珍しくはねぇな。……これは噂だけど地底人も居るらしいぜ?

 ああ、それとな戸籍が無いから、名前はスラム時代に適当に決めたらしい。いちおうラストネームも適当に決めているらしいが、ここではお披露目しないでおこうかな。


 コイツの目標は、ざっくり言えば巨大ギャンググループになること。もっと言えば、前に失敗したデカい仕事のリベンジがしたいらしい。ただまぁ、あまりに目標が遠すぎるんで、今の段階じゃ夢物語にすらなれねぇな。


 いずれ世界最悪と呼ばれるクソギャング『オタ』の話はとりあえずおしまいだ。




 次に紹介するのは、今回の強盗でドライバーを務め、人も薬も宝石も運ぶプロフェッショナル。

 チームの中で最年長、ダン・ジョーンズの話だ。


 こいつは元々はラメカールの人間じゃなかった。

 とある普通の国で、普通のドライバーをやっていた。ここで言う普通って言うのは、何の皮肉でも無く、文字通りの意味で普通ってことだ。


 ただまぁ、若いときにありがちだが、自分は才能にあふれてて金持ちになれると勘違いしちまったらしく、ちょっと危ない仕事だと分かっていながら、はるばるラメカールまで堕ちてきやがった。


 報酬ありきで仕事を選り好みしてたせいで、自分の身の安全を切り売りしちまったらしい。

 ラメカールで、ギャング絡みの良くない物の配達員をしていたころ、これまた別なギャングに絡まれて、ドライバーとして致命的なミスをやらかした。


 当然、ギャング連中から追われる身になるわけだが、この男はとことん運が無いらしく、ギャング以外のヤバい連中からも命を狙われることになった。


 ただまぁ、ドライバーの腕はいいらしく、まんまと逃げきれたみたいだ。


 てめぇの運のなさを実力でカバーするってのは賢い生き方だよな。まぁ、その前に欲に溺れてミスっちまってるから、なんも賢くねぇけどな。

 ……今のは笑うところだぜ? どうせバカの寓話なんだから思い切り笑った方が良いんだよ。


 さっきはチームで最年長と言ったが、ダンはちょうど30歳だ。いわゆる三十路だな。

 若いころはフサフサだったらしいが、ラメカールの飯が体に合わないのか、どんどん頭が薄くなって、今ではしっかりスキンヘッドだ。


 本人は髪が長いと運転するときに邪魔だからって強がってるけどな。


 ガタイがいいからラフな格好が似合わないって言って、カジュアルスーツを好んで着てる。ただ、丸刈り頭に黒いスーツってのは、どうみてもギャングにしか見えないけどな。

 あ、本人もちょっと気にしてるから、あんまりイジるなよ?


 スタイルを変えることも考えてたらしいが、オタに勧誘される前は酔っ払いを乗せて運転することが多かったから、いかつい風貌は牽制になって都合がよかったらしい。


 あとは普段着てるスーツが好きなブランドの物らしい。車以外にもこだわりが強いっぽいね。


 そんな頑固ボウズの目標は、このクソみたいな国ラメカールから出ていくこと。ただ、前の話でも言っていた通り、強盗の稼ぎで十分国を出ていくことはできる。


 だがそれは、ダンが嫌いなギャングやしょうもないバカ共に、足元見たようなアホみたいな金をとられる前提だ。それが許せないって言うんで、オタがまとめてぶっ潰してくれるのを待ってるらしい。

 まぁ、オタの目標でもある大きな仕事をこなすには、そういう伝手も必要になるからな。


 一石二鳥ってやつだ。

 ……本当は、ただオタを気に入ってて、もっと一緒に仕事をしたいだけかもな。


 おっと、勝手な推測でしょうもない噂話をするのは良くないな。今聞いたことは忘れてくれ。


 さてと、ここまででオタとダン・ジョーンズについては理解してもらったかな?

 まだまだ隠し事や秘密、面白い話ってのはあるが、それはまた今度にさせてもらおう。長々話すのも退屈だろうからな。


 それに、こういう話は、赤の他人の俺より、ちゃんと本人から聞いた方がリアリティがあって感動するだろうしな。


 以上、謎の情報屋『クリス・ブラドリー』でした。

 また会おうぜ、バカ共。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る