第2話 磨かれた恥




「おい!あいつ!道端で漏らした人だ!」

「本当だ..!入学式なのに体育着を着ているぞぉ」

「体育着に名前が書いてあるぞ!」

「高松 慎吾?...あれか高松って香川県の地名だろ」

「香川って言ったら日本で一番小さい都道府県だろ」

「つまり!日本一小さなち◯こって意味だな!」

「おぉおい!?誰が日本最小だってぇえええ」

「ひぇ!妖怪大洪水!」

「誰が妖怪だぁあ!?妖怪に失礼だろぉおおうう!捻り潰すぞーーーッッ」

「きぇえ...玉が玉が..潰されるっ...にっびげろぉぉお」


やめろぉ...頼むから...叫ばないで

なんで何だよ..何で学校の体育着が黄色く発光するんだよ..!

誰だよぉお!

体育着に光る機能を付けるんだよぉおお

特に..股間部分が一番眩しく光るんだよぉおお


めっちゃ目立つ...商店街だからよその人も集まってきたし


いやもう..いっそ改まるか

恥じらいはもう俺の辞書に存在しないーーッッ


「うぉおおおおお」


そう叫びながら体育着を脱いで

パンツ一丁になった


「そぉおだ!舐めるな!この大きさが目に入らぬかぁああ」

「水戸 肛門..!?」

「ちっさ」

「グハッァーーーッッ」


知らない人に言われると...うぅ

存在しないプライドに大ダメージ


「無いものにいくら引いてもねぇええんだよ」

「もしもし警察ですか?動物園から害獣が脱走しました?」

「え?」

「あぁ..!この近くに居るんですか!なら早く来てください」


この近くに警察..?


「やぁ君..やっと見つけたよ..所と檻どっちが良いかい?」

「はい..すみません」

「日本語が通じ無いようで助かったよ」


軽く手錠をかけられ

留置所へ連れて行かれた


まるでペットだな...はは..

金持ちの女の子に飼われたい


何分かムチを使った尋問を行われた

毎回「おい!」とか「学校やめる?」とか


人権など..人にしか無いものなのか

3億年ボタンを押した気分だった


これでも生物してるんだぞ

何が無機物だ

何が灰だ


燃やすぞ


おかげで今

発光する体育着を着ながら

校門前の皆んなの目線が集まる所でパトカーから降りてるんだ


まるで不審者じゃないか

失礼だろ人間様に


人が集まりすぎてるな

今何時だ...よ

もう始まるじゃねぇか!?!?


とりあえず道を作らないと

幸い同級生は入学式に参加して居るから

厄介事にはならまい


ふぅ


「俺の座右の銘は 俺か俺以外だぁああ」

「ホスト界の帝王みたいな事言いやがった」

「女どころか虫すら集まらないだろ..こいつ」

「えぇ」


周りにいる生徒がドン引きしながら後ろへ足を引きずった


よぉしこれで通れる道が出来た


一直線で体育館に走って向かわないと

間に合わないーーーッッ


走れええええ


「うぉおおおおおお」

「ちょっと君!ズボン」

「うっせー!ベーだぁ2度と世話にならないからな」


煽りながら体育館っぽい建物に向かって走った

あれ..さっきより..軽い

これって

覚醒!?人間誰しも危機的状況が起きたら覚醒するって聞いたことあるしぃ


「うぉおおお」

「おい見ろよあいつ..ズボン履いてないぞ」

「服が体育着ってまさか!噂の奴か!」


くそっ..場所がわからねぇ

バカだろ...こんな迷路みたいな校舎にしたのは誰だよ


「入学生一同起立」


なっ地面から声が聞こえる!?

まさか体育館って地下にあるわけじゃ無いよなぁ!


まずいまずい

始まってるっ


この近くに地下へと続く道は..

えー..えー


もう此処まで来たら適当に進んでやるっ


あれ..思いっきりあるじゃねーか

地下鉄みたいなノリで

体育館へと続く階段って

うひょーラッキー


そう思うがままに体育館へと繋がる階段を降りた


ん?裏口

しっちゃこっちゃ無いぃい!

漢!慎吾!いっきまーす


「えー続いて生徒会長からの入学生へのお言葉で一同礼」


まずいまずいどうやって中にはい...っ!?!?


ってえぇええここ天井!?

裏口ってじゃ無いのか?なんで天井..!?


あれれれれ体育着は?ズボンは?


まずいまずい


あっ


焦りすぎて足を滑らし

生徒会長へと向かって落下した

10m以上ある天井から


突然の出来事で教頭はマイクを落とした


身体の落下地点が生徒会長だった為

そのまま直撃し

生徒会長の背中を尻に敷いた

幸い怪我は無さそうだ


何故か手元にパンツが落ちていた

落下の勢いで脱げたのだろう


「あっああっ」

「あえぇえええr」


会場が物凄い勢いでドン引きしていた

悲鳴を上げていたやつも何人か居た


「あっあいつって」

「あぁ..妖怪大洪水」

「でっ伝説だ」

「生徒会長...絶対死んだよな」

「確実に死んだな」


あー...うん...気にしたら負けだ

あはははははは


「あれ..こいつの..ちっさくね」

「本当だ!ちっさ」

「うるせぇえええ!」


落ちていたマイクを拾い上げ

こう叫んだ


「この逸物が目に入らぬかぁあ!」

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