第11話 気の迷い

文芸部は、ぽこぽこと居候が生まれる場だ。

最初居候は居候先輩だけだと思ってたから、居候先輩って名前にしたのに、ややこしすぎるだろこの部活。

そしてこの日も知らない人がいる。

「ヘッドホンの友だち、ではないんだけど、まあなんか仲良くしてやってるやつです」

「親友親友」

悲しいよヘッドホン先輩。

「あでも前に気の迷いでラーメン一緒に食ったことあるわ」

「気の迷い…」

泣いちゃうよヘッドホン先輩。

「お前もなんか一つ書けよ」

ブロッコリー先輩が正式な部員にしようと勧誘した。けど私はこの流れを知っている。居候先輩なんて『今のままで不自由なことがないから入る必要がない。もし文芸部が何かやらかしたら俺は無関係を装う』って言い切っていた。さすが居候先輩の名を冠しているだけある。

「じゃヘッドホンの悪口書こうかな」

「おい」

「後輩にもいいんじゃない?先輩を知る機会として」

「悪いとこだけじゃんそれ」

「じゃ俺が良いところ書いてあげるよ」

「無理だろ。そんなん1ページで終わるわ」

「悪口は何ページ書くつもりなんだよ」

「50ページぐらい余裕だろ」

「もはや愛じゃないですか」

よかったねヘッドホン先輩。

毒舌先輩と名付けるその新たな居候は、結局最後までいた。

さらには、

「ヘッドホン、ラーメン行かね?」

「気の迷い!!」

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