山賊焼きの由来(嘘)

羊倉ふと

山賊焼きの由来(嘘)

 むかしむかし、中国のとある山奥に山賊がおりました。

 と言っても、彼らは旅人を襲って食べ物や金目のものを奪って生計を立てる「山賊」ではなく、山で自給自足の生活をしている「山族」だったのですが、着ている物が粗末だったので、麓の村人からは「野蛮な山賊」と勘違いされ恐れられていました。


 ある日、お城に住む殿様のところに村人から「うちの村の近くに山賊がいますだ、怖えですだ」という声が届き、殿様は怒り狂いました。

「余の領地で悪さをする不届きものは絶対に許さん、成敗してくれる。いや、殺すだけでは腹の虫が治まらんな、腹の虫を治めるには何か食べるのが一番だ。山賊どもを殺して食ってしまおう」

 殿様は配下の将軍を呼びつけて、言いつけました。

「山賊どもを成敗して、肉料理にしてから余のところに持ってこい。余はハンコを押す仕事で忙しいので城に残る」

 将軍はその命令に軽く引いたものの、まあ自分が食べる訳じゃないしいいか、と思いながら、軍隊を率いて山賊がいる山に向かいました。


 山に着いた将軍は、山賊たちの生活を知り、彼らが悪さをするような人たちではないことを理解しました。しかし、殿様からの命令を受けてしまった以上、手ぶらで帰る訳にはいきません。かといって無実の山賊を殺してしまうことも気が引けます。

 将軍がどうしたものかと頭を捻らせていると、山賊が家畜にしているニワトリに気がづきました。

「これでいいか」


 将軍は山賊に頼んで鶏肉を分けてもらい、山賊の肉だと嘘をついて城に持って行く事にしました。ただそれだけだと鶏肉だとバレるので、香辛料をたっぷり使ったタレを肉に塗り込んで、味を誤魔化して焼肉にし、殿様に献上しました。

「殿様、こちらが山賊の焼肉にございます。奴らの肉はとんでもなく臭かったので、味付けを濃くして料理しました」

 献上された焼肉を食べた殿様はその味を気に入り、将軍に言いました。

「これは余が今までで食べた料理の中で一番うまい。気に入ったからまたどこかの山で、山賊どもを殺して料理にして持って参れ」


 将軍は何度も山賊討伐の命を受け、その度に山賊たちから鶏肉をもらいに行きました。将軍は山賊たちにお金を払っていたので、山賊たちも快く鶏肉を分けてくれました。

 山賊たちは将軍に鶏肉を売ったお金で服を買い、身なりを整えたので、麓の村人たちから恐れられることはなくなりました。

 殿様が亡くなった後で、将軍が献上していた料理は実は鶏肉だということが民に広がり、そのレシピは「山賊焼き」として知られるようになりました。


 これが山賊焼きの由来、ではありません。

 山賊焼きは日本のご当地グルメで、由来は諸説あるようです。

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