夜の出来事
ミノビシャス
1話完結 ショートショート
午前0時。街は寝静まり、外は静寂に包まれていた。季節は梅雨時期で湿度が高く、ジメジメしていて夜でも暑苦しさを感じる。
「ハァハァ…」
男は息遣いを荒げながら湿気の混じる汗を全身から滴らせ、身体を上下に動かしている。
「ハァハァ…」
男の息遣いはだんだん激しくなっていく。
築30年以上経つ老舗アパートの床はギシギシと音を立てている。
男の引き締まった身体が上下に動く度に汗は夜中の部屋を濡らし、床のギシギシという音はより激しくなる。
「あぁ…も、もう、ダメ」
男の身体が上下する動作が止まり、そのままうつ伏せでうずくまった。
「ハァハァハァ…」
男は仰向けになり、荒い息遣いをしながら天井を見上げた。マルボロに火を付け深く吸い込み、煙を大きく吐き出した。
ゆっくりと宙を舞う白煙は渦を巻いては暗い夜の帳の中へと消えていった。
すると男は隣の艶っぽい視線の方へ目をやった。
「お前はどうしてそんなに悲しい目をするんだ?また抱いて欲しいのか?フッ…仕方がないな…さぁ、こっちへおいで」
男はたばこの火を消すと、しっぽを振って喜ぶメス犬、愛犬リンを抱き上げた。
一人暮らしで愛犬を飼い、日課は就寝前の腕立て伏せである。
完
夜の出来事 ミノビシャス @minokoshit
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます