第27話 嫌な予感

「そう、わかった。莉緒ちゃんは明日ホールの手伝いしてもらうから」

 西園様の件を連絡すると、真木さんはそう言って電話を切った。岩名さんにもう一度挨拶してホテルをでた。


 朝、真木さんに言われたホールの準備をするために部屋をでてから、ほぼ一日部署に戻ることができなかった。戻ってくると真木さんはいなくて、岩名さんが私を呼んだ。

「真木さん今西園様と一緒に神原様のお宅に行ってるから」

「何かあったんですか?」

「神原様のお父上が花婿に黙って婚約パーティーをするって言い出したらしい」

「黙って?」

「花婿に言うと反対されるから当日まで秘密にするって言ってて」

「そんな騙すみたいなこと」

「だろ、西園様も花婿に嫌われたくないから一緒に行って説得してほしいって」

 彼が一番嫌がることだと、父親なら気づいてもいいはずなのに…それでも強行したいのは何故なんだろう。

「白波は、帰っていいぞ、きょうの仕事終わったんだろ?」

「はい…」

「俺もう少し待ってみるから」

「私も…」

「いいから、帰って休め。顔青いぞ」

 聞かされた内容のせいだとは言えず、帰り支度してると真木さんが戻ってきた。

「お帰りなさい、どうなりました?」

 岩名さんが声をかけると

「莉緒ちゃん、岩名くん少し話いい?」

 真木さんが2人を呼んだ。


「結論から言うと婚約パーティーをすることになりそう」

「えっ、無茶でしょ、花婿知らないまま、進めるって」

「そうね、無理なことは伝えたけど、お父様はそれでも構わないみたい」

「当日花婿不在なんて、それこそ花嫁がかわいそうじゃないですか」

「西園様が、結婚は彼の気持ちが自分に向くのを待ちたいって言いに行ったら、そんなのは待ってられないから婚約パーティーだって言い出したんだって」

「そんな強引なことしたって…」

「周りから固めようとしてるんだろうけどね」

「神原様ご本人には…?」

「うん、さっき連絡とった」

「西園様も向こうのお父様の意向とはいえ、神原様に黙ってるのは無理だから伝えてほしいって言われてね」

「岩名くんは同席してもらうけど、莉緒ちゃんはどうする?」

 まっすぐに見られてドキッとする。

「白波も同席するよな?」

「私は莉緒ちゃんに聞いてる」

 きつめの言葉に岩名さんが黙る。

「ちゃんと向き合わないと…自分の気持ちに」

 真木さんは、私の気持ちに気づいてる、その上でどうするかを聞いていた。

「同席します」

「うん、わかった。神原様来られたら応接室に通して、すぐ呼んで」

 終わってない仕事を片付けるために真木さんが自分の席につくと岩名さんと私も席についた。

 


 

 


 

 


 

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