第6話

 食べ終わった後、検査が始まることになる。

 薄汚れた廊下を進むと、


「それでは、検査を始めさせていただきます。」

 目の前には、冷たい機械。そして、すこし黄ばんだ電球がある。

「まずは、採血からですね。」

「・・・はい。」

 鋭い注射針が、皮膚を貫く。皮膚の内側から小さく痛みが走る。

「うっ」

「少し痛みますよー。」

 この医者は針を刺してから言った。手遅れだ。

 ◯─────◉


「検査はどうだったー? ナンちゃん。」

 廊下を歩いていると、目の前に桜が現れた。

「まあ、大丈夫だったよ。」

「あー。あの人は見かけと違って残酷だからねえ。人の心を理解していないっていうか。」

 また、謎なことを言い出す。でも、図星だった。

「おいおい。なんてことを言うんだい。」

「げげげ。じゃあね!梨花ちゃん!」

 そういうと、桜は慌ただしく逃げていった。

「まったく、桜は。えーと、では梨花さん。」

「はい!」

 緊張が高じて変な声になってしまった。

「特に異常はなかったので、これで退院となります。」

「はい、ありがとうございました。」

 これでこの生活も終わり、いつものスラム生活に戻ることになる。

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