第11話:その他SCP報告書

アイテム番号:SCP-X0196-JP"無銘の妖刀"


オブジェクトクラス:Safe


特別収容プロトコル:SCP-X0196-JPは古神道様式に則った呪物封印術式が施された桐箱に収められた状態でサイト-8107異常物品保管用ロッカー(大)に保管されます。


説明:SCP-X0196-JPは室町時代に制作されたとみられる無銘の日本刀です。

西暦1918年(大正7年)9月6日未明、新潟県【編集済】村で発生した大量殺人事件の犯人が凶器として所持、同事件において犯人は村人28名 を殺傷後、さらに駆け付け付けた拳銃で武装した警察官3名を殺傷、付近の高台に潜んだ現地猟師の狙撃により射殺されました。

生存者の証言によると犯人は発砲された拳銃の弾を刀で斬る等、常人離れした身体能力を発現させていた為、事件後警察に押収された刀を蒐集院が異常物品として回収しました。

詳細については蒐集院が当時作成した実験記録を参照してください。


百九十六番実験記録一-日付大正七年九月八日

対象:異常物品百九十六番

実施方法:死刑囚、甲(以下、甲)ニ異常物品百九十六番ノ抜刀ヲ指示。

結果:異常ナシ。


百九十六番実験記録二-日付大正七年九月八日

対象:異常物品百九十六番

実施方法:死刑囚、乙(以下、乙)ヲ甲ニ対峙サセシ後、甲ニ異常物品百九十六番ノ抜刀ヲ指示。

結果:異常ナシ。


百九十六番実験記録三-日付大正七年九月八日

対象:異常物品百九十六番

実施方法:甲ニ対峙セル乙ニ短刀ヲ所持サセ、対象ヲ殺スヨウ指示セル後、甲ニ異常物品百九十六番ノ抜刀ヲ指示。

結果:甲、瞬時ニ乙ノ首ヲ撥ネシ後、心神喪失状態トナル。


百九十六番実験記録四-日付大正七年九月八日

対象:異常物品百九十六番

実施方法:死刑囚、丙(以下、丙)ニ心神喪失状態トナリシ甲ヨリ異常物品百九十六番ヲ回収スベク指示。

結果:甲、瞬時ニ丙ノ首ヲ撥ヌ。


百九十六番実験記録五-日付大正七年九月十七日

対象:異常物品百九十六番

実施方法:甲ヲ実験室ニ監禁シ、七日間絶飲絶食セサセシ後、死刑囚、丁(以下、丁)ニ異常物品百九十六番ヲ回収スベク指示。

結果:甲、瞬時ニ丁ノ首ヲ撥ヌ。

甲ノ監禁ヲトホシ、九日目ニ甲ノ餓死ヲ実検。異常物品百九十六番ハ納刀サレシ有様ニ戻レリ。


******


アイテム番号:SCP-X1090-JP"天狗の面"


オブジェクトクラス:Safe


特別収容プロトコル:SCP-X1090-JPはリモコン式パージ装置と共にサイト-8107異常物品保管用ロッカーに保管されます。


説明:SCP-X1090-JPは制作年代不詳の天狗の能面です。

西暦1956年4月頃、東京都八王子市にある高尾山の山道で天狗の目撃情報が多発、現地警察に偽装した財団フィールドエージェントが調査したところ、天狗の面を被った山伏風の男を発見。

財団フィールドエージェントが職務質問を装って、確保を試みたが異常な敏捷性を発揮され失敗。

その間、天狗の面を被った男は嘲るような仕草をみせ財団フィールドエージェントを挑発し続けていたが、火薬発射式野生動物捕獲ネットを調達した財団フィールドエージェントにより同月16日に確保されました。

男は確保後も天狗を自認し、財団による取り調べを拒否していたが、財団職員が天狗の面を取り外すと、放心状態になりながらも取り調べに応じるようになった。

取り調べでは、天狗の面を被ってからの記憶がないと答え、面を入手した経緯を訊ねたところ、本物の天狗から貰ったと、供述した。

当初財団はこの面を異常物品と認識していなかったが、実験の結果、被験者の身体能力を格段に向上させる効果を発揮した為、SCP-X1090-JPと定義し収容する事となった。

注意事項としてSCP-X1090-JPを被った被験者は天狗を自認するようになり、自発的に天狗の面を外すことがない上、拘束することが非常に困難な為、実験を行う際は研究員によるリモコン式のパージ装置(紐を切り離す)の操作が必須となる。


******


アイテム番号:SCP-X1429-JP"修復タイマー"


オブジェクトクラス:Safe


特別収容プロトコル:SCP-X1429-JP はサイト-8107異常物品保管用ロッカーに保管されます。


説明: SCP-X1429-JPは新興宗教団体【編集済】が儀式において奇跡を起こすとの情報から財団フィールドエージェントが同団体に潜入調査を行った際に発見・確保された、一般的なゼンマイ式キッチンタイマーの見た目をした異常物品です。

儀式の内容は、同団体の代表が信者の身体をナイフで傷つけ、 SCP-X1429-JPを使用し傷を瞬時に治すといった内容だった為、信者を装った財団フィールドエージェントが警察に通報、同団体代表は傷害容疑で逮捕されました。

逮捕時、同団体代表は「30分! 30分経ってしまう!」と繰り返し叫んでいたが、後日行われた実験によりSCP-X1429-JPが発生させる異常現象の発動条件が30分以内であることが確認されました。詳細は実験記録: X1429-JPを参照してください。

同団体代表は取り調べ直前に自死しており、入手経路などの特定には至っていません。


実験記録:X1429-JP-1 日付1979年3月20日

対象:SCP-X1429-JP

実施方法:新品の市販製トースターを破壊し、直後にダイヤルを30に合わせたSCP-X1429-JPを破壊されたトースターに押し当て強制的にダイヤルを0にする。

結果:トースターが新品の状態に戻る。

SCP-X1429-JPのダイヤルが操作不能になる。

(3月21日追記:24時間経過後再び操作可能な状態になる。)


実験記録:X1429-JP-2 日付1979年3月22日

対象:SCP-X1429-JP

実施方法:新品の市販製トースターを破壊し、30分経過後にダイヤルを30に合わせたSCP-X1429-JPを破壊されたトースターに押し当て強制的にダイヤルを0にする。

結果:破壊されたトースターに変化なし。

SCP-X1429-JPのダイヤルが操作不能になる。

(3月23日追記:24時間経過後再び操作可能な状態になる。)


実験記録:X1429-JP-3 日付1979年3月24日

対象:SCP-X1429-JP

実施方法:実験用マウスに刃物で傷をつけ、直後にダイヤルを30に合わせたSCP-X1429-JPを傷をつけた実験用マウスに押し当て強制的にダイヤルを0にする。

結果:実験用マウスの傷が治る。

SCP-X1429-JPのダイヤルが操作不能になる。

(3月25日追記:24時間経過後再び操作可能な状態になる。)


実験記録:X1429-JP-4 日付1979年3月26日

対象:SCP-X1429-JP

実施方法:実験用マウスを刃物で刺し死亡させ、直後にダイヤルを30に合わせたSCP-X1429-JPを実験用マウスの死体に押し当て強制的にダイヤルを0にする。

結果:実験用マウスの死体の傷が治るが蘇生はしなかった。

SCP-X1429-JPのダイヤルが操作不能になる。

(3月27日追記:24時間経過後再び操作可能な状態になる。)


実験記録:X1429-JP-5 日付1979年3月28日

対象:SCP-X1429-JP

実施方法:実験用マウスに油性ペンで印を書き、直後にダイヤルを30に合わせたSCP-X1429-JPを印を書いた実験用マウスに押し当て強制的にダイヤルを0にする。

結果:実験用マウスに書いた印が消える。

SCP-X1429-JPのダイヤルが操作不能になる。

(3月29日追記:24時間経過後再び操作可能な状態になる。)


補遺1:SCP-X1429-JPの発生させる異常現象は治癒や修復といった現象ではなく、対象の状態を最大30分過去の状態へ置き換えていると考えられる、つまり時空間操作技術が応用されている可能性があり、同オブジェクトの制作に要注意団体【編集済】の関与が疑われているが、【編集済】が作る製品に必ずみられる"納品書"が発見されていない為、現在のところ未確定である。

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