黒林檎

天井あまい 稀代きたい


まだ12歳今月で13歳になる少女。


名前とは裏腹に人生に対して

私は大した期待をしてこなかった。


欲しい物は欲しい時に欲しい形で手に入れたい。


全ては当然叶わないものとわかっている。


だから、

あるものをあるものと交換する力が私にはある。


「私にはお金がないの、これと物々交換して。」


これが私を失う代わりに自分を満たす行いだ。


等価交換の力。

両親も知らない私の為だけの力。


川で拾った自転車を自転車屋に届ければ、

見るからにお金が無い見た目をしてるから、

お金は貰えなくともお菓子やお茶を貰える。

それで自転車は貰えなくてもいい、


ただ犬猫のように相手に

私が可愛げがあると思わせれば私の勝ちだ。


可哀想で弱く居ることも私の立派な強み。


周りから何を言われても強く図太く…


いじめ等はからかいが原因で起こることもあるから、胸を張り堂々と貧乏が理由で決して舐められる訳にいかない。


自分の価値を1番に知って死後に墓場まで

一緒なのは自分だけだ。


以上が私天井 稀代の独白である。


ずっと目で追っていた姫の次のお宿に

見るも恐ろしい少し腐敗した黒ずんだ林檎を


さて、

私はこの林檎の価値を如何に上げられるだろう。


もし、ロバが呪いとなって

私に襲いかかってくる可能性も私は考えなくては


考えなくては…全ては私が豊かになる為に


あのロバを私の子にする。




しかし、稀代はまだ知らない。


稀代に呪いを祝福に変える力があった事を

知るのはまだまだ先のお話。

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