第11話:予期せぬ出来事。

今日も通学時に玄関を出るときリボンちゃんがいつものおまじないみたいに

俺にハグとチューをくれた。

そうすることは、それは俺とリボンちゃんの日々のルーティーンになっていた。


「じゃ〜行ってきます」


「行ってらっしゃい、車に気をつけてね」


ところが・・・リボンちゃんが言ってた・・・


「あ、そうだ、もしかして通学中に事故にでもあって 巻き込まれて

圭ちゃんが死んじゃったら、そしたら私エボンリルに帰れなくなるよ」


って・・・その言葉が現実になった。


韓流ドラマによくある主人公が交通事故に遭うってパターン・・・。

ご多聞にもれず俺もそうなった。


いつものバス停からバスに乗って俺は大学に向かっていた。

信号が青になってバスが進み始めたところに持ってきて赤信号なのにもかかわらず

大型トラックがバスの横っ腹に追突して来て、すごい衝撃でバスは3回転くらい

横転した。


俺は席から投げ出された瞬間までは覚えていたけど、それからの意識がなかった。

目が覚めたのは病院のICUのベッドの上だった。

なんとか意識は取りもどしたようだけど身動きが取れない。


なんだか物々しい機械につながれて、その機械がピーピー鳴ってるし点滴と

輸血の針が腕にささってるし・・・ああ、そうかバス・・・事故ったんだ。


俺はどうなっちゃうんだろう?


それから数時間後、俺はICUから個室病棟に移された。

で、俺が事故ったと知らせを受けた、おふくろとリボンちゃんがそばにいた。

家族ということで面会が許されたみたいだね。


初めて顔を合わすおふくろとリボンちゃん、なんて説明したか知らないけど

違和感なく二人仲良く揃っていた。


リボンちゃんは機械につながれて包帯だらけの俺を見て泣いた。

泣かなくていいよって言ってやりたかったけどクチも聞けない状態じゃ

どうしようもない。

おふくろはパートがあるからと俺をリボンちゃんに託して帰って行った。


「圭ちゃん・・・大丈夫?・・・絶対死なせないからね、圭ちゃん」


どうなんだろ、俺このままあの世にいっちゃうのかな?


「どんなことがあっても絶対私が助けるから・・・」


(その気持ち、その想いが愛だよリボンちゃん・・・)


「え?・・・今はそんなのどうだっていいの」


(そうか、しゃべれなくても俺の思ってることがリボンちゃんには分かるんだった)

(俺は大丈夫だからね・・・心配いらないから)

(リボンちゃん救済しなきゃいけないことがひとつ増えたね)

(もし俺が無事退院できたらリハビリって救済が待ってるよ)


「圭ちゃんが元気で帰って来てさえしてくれたら私はそれでいい」

「圭ちゃんにもしものことがったら・・・私・・・」


すぐにでも起き上がって俺は大丈夫だよってリボンちゃんを抱きしめて

やりたかった。

でもこんなことが現実になるなんて・・・。


愛とか、なんだとかそんなことは言ってる場合じゃなかった。

せめてリボンちゃんをエボンリルに返してあげたかったのにできそうもない。

俺は下手すると、このまま植物人間かはたまたはあの世へ行っちゃうかも

しれないだろ?・・・。


リボンちゃん・・・俺はもっと君と一緒にいたかったのに・・・もっと

ラブラブしていたかったのに・・・ごめんよ。


その夜遅く、俺の容体は悪化した。

医者は必死で俺を救おうと頑張ってくれたけど結局心肺停止で蘇生も虚しく

俺の心臓は再び動くことはなかった。


つづく。


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