第10話:たとえ一休天使になれなくても。

次の朝、もちろんリボンちゃんが甘〜い声で起こしてくれた。

リボンちゃんは俺のクチビルにチュってした。

俺にとってリボンちゃんのクチビルにキスは愛情の証だ。


「チューしてほしかったんでしょ?」


「そりゃ恋人同士だもん」

「もう俺たちは人間と天使って隔たりはなくなったんだから」

「リボンちゃんがそばにいないと僕は幸せにはなれないよ」


「恋人同士っていいね、さ・・・起きて朝食にしましょ?」


それからは俺が大学へ行く時、リボンちゃんがいつものおまじないみたいに

俺にいってらっしゃいのハグとチューをくれた。


そこは大きな進歩だって思う。


リボンちゃんはエボンリルの生活と違って、今は圭介のそばにいることが

幸せだって思っていた。


だけど圭介が大学へ行ってしまうとたちまちヒマになるリボンちゃん。

一応、掃除に洗濯を済ませたらヒマでテレビでも見るしかなかった。

ご近所の状況をちゃんと把握しきれてなかったからお買い物にスーパーに行く

にはまだ少し抵抗があった。


だからダメだよって言われてたのに・・・やっちゃったリボンちゃん。


《圭ちゃん・・・今、なにしてるの?》


(え?・・・リボン?・・・あ、そうかテレパシーか?)


《ヒマだからお話しようと思って》


《思ってじゃなくて、今授業中だから・・・》

《つうか、こんなにはっきり言葉が届くもんなの?》


《私のテレパシーは地球の裏側にだって届くよ》


《そうなんだ》

《てか、それより今、講義うけてるからちょっとマズいよ》


《いつ帰って来るの?》


《ん〜授業が終わったら真っ直ぐ帰るから》


《待てないよ・・・そっちへ行っていい?》


《だめ、だめ・・・来るな、来るな・・・》


《なんで?》


《だから、リボンちゃんが来たら、みんなに紹介しなきゃいけなくなるから》


《窓の外からそっと見るから》


《ストーカーか?》


《ストーカーって?》


《しつこく付きまとうやつのことだよ、変態のこと》


《ま、私、変態じゃないから》


《う〜頭にガンガン来る・・・リボン、声がデカイよ》


《あ、ごめんなさい、つい興奮しちゃって》


《なんかさ、これいつまで続けるつもり?》

《あのさ、帰ったらちゃんと構ってあげるから》

《おとなしくテレビでも見て待てってよ、いい?》


《分かった・・・つまんないの》


この先も大学までテレパシーでこんな会話が続くのはごめんだと思った圭介は

アパートに帰るとリボンに毎日は勘弁してってことにしてもらった。


退屈してるリボンちゃんに埋め合わせをするために俺は大学から帰ると片時も

リボンちゃんから離れなかった。


仲良く晩ご飯を食べて、仲良くお風呂に入って・・・。

そうなんだよ・・・なんだかいつの間にか一緒に風呂にまで入るようになっ

ちゃって・・・。

で、風呂から出るとふたりでベランダに座って星を眺めて、どうでもいい話で

盛り上がって気が向いたら時々ハグしてチューして・・・。


あとはね、男と女がすること・・・だけどそのことをリボンちゃんにお願いする

勇気は俺にはまだなかった。

そうなるのは自然の成り行きだと思った。


で、いつものように朝はリボンちゃんのラブラブで起こされていい気持ちで

俺は大学へ行った。


リボンちゃんの救済はたぶん俺があの世にいくまで続くことになるのかもしれない。

だってリボンちゃんがエボンリルに帰っちゃったら俺はたちまち悲しみにくれて

生きる気力を失うから・・・。


だからリボンちゃんはずっと俺のそばから離れることは生涯ないんだ。

俺を救済し続けなくちゃいけないからね。


たとえ一級天使になれなくても・・・。


つづく。

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