第7話:片想いって?・・・。
「おっはよう圭ちゃん!!」
「おはようリボンんちゃん」
リボンちゃんは朝が来るのが待ち遠しかったようやたらテンションアゲアゲで
俺を起こした。
愛に目覚めてくれたのかな?・・・でもそんなに急には無理だと思うんだけど・・・。
もしかして?って期待するよね・・・。
で、ハグされてチューされた・・・ほっぺに・・・クチビルじゃなくて。
だから僕は自分のクチビルを指差した。
「え?・・・そこ?・・・そこにして欲しいの?」
「だって昨夜、頑張るって言ったじゃん」
「だって〜まだ愛に目覚めてないんだもん」
「え〜じゃ〜今朝のテンションの高さはなんなの?目覚めたからじゃないの?」
「めちゃ期待しちゃうじゃん」
「無理みたい・・・頑張っても閃かないんだもん」
やっぱりさ、愛なんて理屈じゃないんだよ、だから無理だって思ったんだ。
そもそも、きかっけもないのに愛を目覚めさせるなんて間違ってるんだからさ。
「目覚めなくていいから、とりあえずここにチューして、ここ」
「まだダメだよ・・・そこは恋人同士になってからね」
「いいじゃん・・・ほっぺたからクチビルまで数センチ移動したらいい
だけだろ?」
そのわずか数センチが遠いものなんだってその時、俺は思った。
「クチビルにチューはもう少しおあずけです」
「つまんないの・・・ 」
「なに?」
「なんでもないよ・・・」
(リボンちゃん日増しに強くなってる? 俺、最初っから尻にしかれてるじゃん)
(なんで愛情もない女の尻に敷かれなきゃいけないんだよ)
「誰が誰を尻に敷くですって?」
「え?何も言ってない・・・言ってないよ」
「ちゃんと聞こえてるよ」
「なんで愛情もない女の尻に敷かれなきゃいけないんだよ、って言ったでしょ?」
「それは心の中で・・・え?・・・うそお」
「私に悪口や隠し事はできないんだからね」
「俺の心の中が読めるのか?」
「誰の心でも読めるわけじゃないよ」
「読めるのは私が好意を持った人の心だけ」
「私の圭ちゃんに対する愛情が目覚めつつあるからなんだと思う」
「好きでもない人の心までは読めないからね」
「そうなの?目覚めつつあるって?」
「そうだよ・・・圭ちゃんへの想いが完璧になるまでまだ時間が必要なの」
「それがよく分かんないんだよな・・・」
「でもいい?圭介ちゃんが文句言ったり私に対して冷たい態度を取ったり
したらその時は救済も彼女も愛情も解消するからね」
「あと、浮気したら・・・」
「浮気って・・・なに?」
「俺たちまだ恋人どうしでもないのに矛盾してるよ?」
「リボンちゃん、まるで僕の彼女か嫁さんみたいなこと言ってる」
「君と俺ってはっきり言ってまだ他人同士だからね」
「そもそも人を好きになるのに、これからとか頑張るとかそういうもんじゃ
ないって言ったよね?」
「・・・だけど・・・努力してるだよ、これでも」
「私が圭ちゃんのこと嫌いだったら、とっくにエボンリルに帰ってるよ」
まあたしかにエボンリルに帰りたいから圭介ちゃんに優しくしてるところ
あるかもしれないけど・・・」
「でも、それっていけないことなの?」
「人に優しくするのはいいことだと思うから否定はしないけど」
「君が愛に目覚めてくれないままだと俺はずっと片想いのままだからね」
「片想い?・・・片想いって?・・・・」
「リボンちゃんに会った時から僕の恋ははじまってるんだ」
「君を想ってるよ・・・愛しいって想ってる、だから余計切ないんだ」
「ずっと想ったまま一歩通行なんて、そんなの辛すぎるよ・・・」
「ずっと想ったまま?・・・・一方通行?・・・片想い?」
「圭ちゃん・・・圭介・・・」
リボンちゃんはそう言うと自分から圭介に近寄って強くハグした。
「リ、リボンちゃん・・・どうしたの?・・・え?」
「私、今キュンで来ちゃった」
「目覚めみたい・・・一瞬で・・・たった今、目覚めたの私の愛が・・・」
「え?・・・そんないきなり?」
「ってか、何で泣いてるの?リボンちゃん」
「いいの・・・今の圭ちゃんの言葉で私一気に心を動かされたみたい」
「私、嬉しい・・・そんなに想われて・・・圭ちゃんのことだいだい大好き
になっちゃった」
「愛だよ、愛・・・」
「絶対、圭ちゃんに片想いなんてそんな悲しい想いさせない」
うそ〜・・・まじで?・・・めっちゃ極端な天使・・・。
つづく。
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