第4話:君のこと好きになったみたい。
「ダメだよ・・・そんなふうに思ってるから私のことなんか考えてくれ
ないんだよ」
「わがままな天使だな・・・いちいち、絡んでくるね・・・言いがかりだよ?
リボンちゃん」
「君、ここになにしに来たの?」
「そうだった・・・藤井さん救済しなきゃ・・・」
「だから、もうひとりの藤井さんとっくに死んでるんでしょうが」
「そうだよね・・・」
「だけど〜、そう簡単にはいかないの・・・一度エボンリルに帰って古い
データ削除して新しいデータ作成しなきゃいけないし」
「管理不行き届きだってお怒られるし・・・マイナスポイント増えちゃうよ」
「ますます一級天使なんて程遠いよぉ・・・どうしよう・・・」
「けっこう面倒くさいんだね」
「あっそうだ・・・藤井さん、圭介さん、あなたが亡くなった藤井さんの
代わりに救済受けてくれない?」
「え?俺が?」
「いい考えだと思わない? 私頭良くない?」
「俺を替え玉にしようって訳?・・・そんな勝手なことして大丈夫なの?」
「だいいち俺は救済してもらわなきゃいけないようなことな〜んにもない
んだけど・・・分かんないだろうけど? 」
「いやいや何かあるでしょ?」
「気がかりなことがあるとか、眠れないとか・・・彼女にフられて落ち
込んでるとか・・・」
「悩み事があるように見える?」
「彼女にフられたように見える?・・・しかも彼女なんて欲しいけど今いないし・・・フラれる要素ゼロだし・・・」
「・・・・・見えないね」
「悩み事がないってのが悩みだったりして?」
「あのさ、ひとつの提案だけど・・・」
「例えばだよ、俺が君を好きになっていいなら、その時点で僕に悩みって
発生すると思うんだけどね?」
「私を好きに?・・・それが悩み事なの?」
「ちょっと意味、分かんない」
「男が女性を好きになるとさ・・・・胸が苦しくなるだろ?切なくなる
じゃん・・・寝ても覚めてもその人のことばかり考えてさ」
「ましてや想いが・・・たとえば相手が君だったとして君に俺の想いが
届かないってなったらもう俺は悲しくて死にたいって思うでしょうが ・・・」
「俺の人生終わったって思うだろ?」
「そういうのが悩みだし、なんとか満たされない心を救って欲しいって
思うんだよ」
「なるほどぉ・・・深いんだね」
「じゃ〜私は失恋して落ち込んでる圭介さんを救済すればいいんだ?」
「あのさ、分かってる?、どういう意味か?」
「要するに圭介さんが私に惚れて私が圭介さんをフっちゃえばいいってこと
でしょ?」
「おお〜分かってるじゃん」
「で私にフられて意気消沈してる圭介さんを私が救済すればいいんだよね」
「そうだけど、どうやったら僕を救えるって思う?」
「う〜ん・・・それは」
「答えは簡単、フったあと君が俺を好きになってくれて愛してくれたらいいんだよ」
「君が俺の彼女になってくれたら俺は幸せになれるって寸法」
「だったら俺の悩みは解消されるだろ?」
「ややこしい理屈ですね」
「そんなまどろっこしいことしないで最初っから恋人同士になればいいじゃ
ないの?・・・なんで無理くり悩み事作らなきゃいけないの?」
「うん・・・まあ、たしかに、そうだね・・・」
「でもさ、救済しなきゃいいけないんだろ?」
「そうだけどぉ」
「まあいっか・・・どうせエボンリルには帰れないんだし、ここに残る
ことにしようかな〜」
「残って、圭介さんの他の悩みを見つけよう」
「俺の悩みもう始まってるよ・・・さっき言ったたとえだけど俺の中で
もう始まっちゃってるんだ・・・悩みが」
「ん?なにが始まっちゃってるの?・・・悩みって?」
「実は俺、君のこと好きになってるし・・・愛しちゃってるかも・・・」
「・・・私をからかってる?」
「なんでよ・・・まじな話だよ」
「え〜藤井さん私のこと、たとえじゃなくて本気で好きになっちゃったの?」
「ね、たとえじゃなくなったみたい・・・」
「いきなりだから私、その気持ちに応える準備できてないよ」
つづく。
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