第2話 図書室の先輩
階段をかけあがって、4階の図書室へと向かう。
ガラッと勢いよく扉を開けると、「静かに」と言わんばかりの冷たい視線を浴びた。
しまったと思ったときには時すでに遅し。そろそろっと、扉を閉めた。
茜は、キョロキョロと室内を見渡す。分厚い参考書を開いて黙々と勉強している、眼鏡をかけたひとつ年上の男子の姿が見える。
邪魔をしてはいけない。その表情が見える、机をふたつはさんだ席にそっと座った。
リュックから、教科書を出す。そっとその姿を教科書ごしに見つめた。
ちょっと神経質にも見えるその顔立ちは、よく見ると整っている。
まったく勉強なんてする気のない私は、隠れてその先輩の姿を見つめるのが日課となっていた。
もちろん、声をかける勇気なんて、ないのだけれど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます