第5話 続きの絵
残暑のムッとする風が入ってくる。同時に、絶えない鳥や昆虫の声も入ってくる。小鳥かな?高い音程で、忙しそう。こちらは大きな鳥だろう。小鳥に比べると、野太い声。大小の風が木々や葉を揺らしている。ザワザワ、ガサガサ。時々ボトッという音がする、木の実でも落ちたのだろう。どれも、心地良く耳に入ってくる。
牧田は続ける、「自然の音ですね。このような山の営みは太古の昔から続いているのでしょう。でも、その全てをヒトは知っているものでもない。さて、本屋の向かいに済む小学生は言っていましたよね、『ゴリラ人間が数人、袋を抱えて本屋から出て来た』と」
俺は「その証言は勘違いかと思ったが、小学生がスマホでINBOUサイトを表示して、そこに掲載されている絵を見せてきて『この絵と似ている』って言っため、着ぐるみ等を来て万引きしたのかもしれないと思った。それで例えば、INBOUサイトが制作した着ぐるみだったら探す手がかりにもなるかもしれない、そう思い今日会いに来たのです」と応える。
牧田は応える、「いいえ。INBOUはそのような着ぐるみは制作していません。続きの絵で、万引き犯や私の本当に伝えたいこともご理解いただけると思います」。
「ええ、見せてください」と俺は言って、お茶を一口すする。牧田は、廊下から部屋に入り、自分の席に戻って、足元の鞄を取り上げる。そして、3枚の絵を取り出して俺に差し出す。俺は受け取って、順々に眺める。
一枚目。毒物を飲んで横たわるゴリラに駆け寄る二匹の同種の生物。一匹は小さいので、子どもだろうなと思った。
一枚目を後ろに、二枚目を眺める。倒れているゴリラのような生物横にて、取り乱した二匹。
二枚目を後ろに、三枚目を眺める。大きい方のゴリラのような生物は、決意したような表情を作って子どもに何かを語っている。
俺は絵から顔を上げて、横に立つ牧田を眺める。
牧田は「私の書く絵は、信じてもらえないかもしれない方法で過去地球に起こったことを探った上で絵にしています。以上の絵も本当に過去地球で起こったことと思っておりますが、次の多摩文理大学教授の論文がそれを証明しているものと思います。次回INBOUに掲載する記事の原稿です」と言ってスマホを操作、俺にスマホを差し出す。俺はスマホを受け取って画面を眺める。
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