コラボ相手

あの配信から早く1週間。現在私はスマホと、にらめっこをしていた。


私のV用のアカウントに大量に寄せられたコラボのお誘いDM。中には私なんかじゃ逆立ちしても届かない高みにいる人たちからも打診が来ていて頭を抱える。


これはきっとあれが原因だ。


あの配信の次の日に、私はいつもの調子を取り戻そうと配信をした。そこで私は、正式なコラボは陽菜以外の人とするって、そう発言したのだ。


そしてこれである。ずっとソロ配信だった人気Vの初コラボ相手になりたいって言うのは皆同じらしい。視聴者もかなり注目してるし同接すごいことになりそうだし。


ちなみになぜ初コラボ相手が陽菜以外なのかと言うと、配信の内2回に1回くらいは陽菜が登場している。準レギュラーみたいになりつつあるのだ。


まずまず陽菜には合鍵を渡したままだから頻繁に家に来る。それはいい。そして、私が配信してると勝手に入ってくるのだ。


……まあ、迷惑な訳じゃないし、良いけど


でもあまり勝手にしてると調子に乗りそうだから正式な初コラボは別の人にすると言ったのだ。


あの時の陽菜の落ち込みようは凄かった。




それよりも、もっと重要なことがあった。

私の持ち味である長時間配信が出来ていないのだ。


私がいつも通り長時間配信を進めようとしてると、リスナーたちが陽菜の方にコメントを送って報告をしに行ってしまうのだ。


5時間を超えると陽菜がうちにやってきて強制的に寝かされるのだ。


……ちなみにリスナー達からの反応は上々で毎回見たいなんて人達が多数なのだ。


何故なら、寝かしつけ方に問題があるからだ。

私は何故か陽菜に抱きしめられていると眠くなってしまう。特に正面ハグはなかなかに強い。ものの数分で耐え難い睡魔に襲われてしまう。


そして何よりも、私自身に問題がある。


睡眠が気持ちのいいものだと知ってしまったからだ。陽菜に抱きしめられながら寝るのは本当に幸せで、暖かくて。


そのせいなのか、すぐに寝てしまう。

ちなみに今も眠たい。

何故なら後ろから私の事を抱きしめる人が居るからだ。


「コラボ相手私でよくなーい?むぅーー」


「……」


「むしろ私だけで良くない?……いや、それは雪の将来性を奪うことに……でもでも雪が他の人に取られるのはなぁ……」


「あの……」


「え?何?」


この人なんかメンヘラみたいなこと言ってる。独占欲強いのかな?


「後ろから抱きつくのやめて欲しいです」


「なんで?やだけど」


「作業したいので…眠くなると困るんです」


そう、私はコラボ相手の選定で忙しいのだ。


「……よし、寝よっか」


そう言って私を抱き抱えて寝室にスタスタと歩いていく陽菜。


……まじかぁ。まだ選んでないのに。


まあ、少しくらいなら……いいよね?


陽菜からひとつ、キスを頂戴して眠りについた。コラボ相手は明日決めよ……

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