コラボ枠争奪戦

朝起きると隣には陽菜が気持ちよさそうに寝ている。もう何回みたか分からないレベルには一緒に朝を迎えているけれど隣に誰かいるだけで朝の幸福度がグンと上昇する。


微睡んだ朝のゆったりとした時間にぼんやりと昨日の事を思い出す。

……コラボ相手どうしようかなぁ


結局今日に至るまで引き伸ばしてきたけどそろそろちゃんと考えないといけないと思う。リスナー達や、他のライバーも私の初コラボを楽しみに待ってる。どうせなら何か大掛かりな……


大掛かりなイベント……?ありだなぁ


少しづつ覚醒していく頭を回転させて、脳内でイベントを組み立てていく。朧気だったイメージが段々と輪郭を持ち始める。それがはっきりとした輪郭を露わにすると私を行動を開始した。


……楽しみになってきたかも。


私は社用の電子端末を取り出してコラボのお誘いをしてくれた人達全員にメッセージを送る。どうせコラボするなら大掛かりにお祭りを興してしまおう。私とコラボしたい人たちをみんな巻き込んだ、ね。


「んぅ……雪〜おはよぉ。何してるの?」


「おはようございます…ちょっと、寄りかかってこないでくださいってば…重いです」


「なっ!重いって失礼じゃない?」


私に撓垂れ掛かりながらも抗議をしてくる陽菜を無視してメッセージを送り、事務所にも考えたイベントの概要を伝え、許可を取る。


……みんな、私とコラボしたいならさ……奪い合えば良いのさ。


VTuber・初コラボ枠争奪杯


さぁ、告知をしようか。


「私重くないよね!?絶対重くないよね!」




……色々重いと思う。色々。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



「みんな〜おっはよー!本日はとっても大切なお知らせをしに来たよ!」


:コラボについてのお知らせと聞いて

:ついに情報解禁か!

:個人的にあの人と歌枠やってほしー

:いや、あの御方とゲームでしょ

:両方見たいわ

:そりゃそう


「みんな盛り上がってるみたいだけど……実はまだ相手は決まってません!」


:えーー!

:ならなんのお知らせ?

:まあ、初コラボだし、じっくり考えるよな


「という事で〜こちらをご覧ください!ドドン!」



:お、映像流れ始めた

:告知PVか

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「どうも、皆様。わたくし本イベントの主催を務める白夜 雪と申します。以後よろしく


私の元に、それはそれはたくさんのコラボのお誘いがやってきました。もちろん悩みます。誰がいいのかとか、色々と。そして、なんか面倒くさくなってきたので、私ではなくそっちで決めてもらおーと思います。



という事で!VTuber・コラボ枠争奪杯の開催をここに宣言します!参加資格はVTuberであること。その他制限はありません!そして、何で争うかと言うと……配信者らしくゲームで決着つけます!かの有名な!FPS!

VPEXで戦って頂きます!優勝者とコラボしたいと思います!なお、試合は3試合行いそれぞれ部門を分けます!

第1試合、雑談配信枠争奪戦

第2試合、歌配信枠争奪戦

第3試合、ゲーム配信枠争奪戦


私とのコラボをご所望の皆様にはそれぞれどの配信をしたいのかをお決めになった後それぞれの争奪戦に分かれてもらいます!そしてそれぞれの優勝者とコラボを実施します!ゲームが得意ではない人たち、主に雑談などをしてる人達でも勝てるようにさせて頂きました!自分の配信スタイルにあった争奪戦に行ってください!こちらで参加者をある程度確認し、試合会場を移ってもらう場合もありますのでご了承ください!パワーバランス調整ってやつですね!雑談枠なんかにゲームガチ勢が入ると面白くないかもなので。


既に参加が決まっている方々のお名前を概要欄にあげてます!エントリーは現在も受け付けておりますので!


それでは、また当日に会いましょう!」


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


:うぉぉぉぉぉぉー!まじか!

:コラボ3回は確定!?

:まじか!ゲーム弱者でも勝てる希望が!

:第3試合やばそ〜w

:ガチ勢がそこらに跋扈する地獄になりそうやな

:祭りじゃー!イベントじゃー!



「どうかな!?面白そうでしょ?」


:マジで楽しみ。

:雪ちゃん……企画力まであるんだ……すご

:雪ちゃんにできないことは無い


「ねぇー!これってさ!私にも参加権あるよね!ねぇ!ねぇ!」


:い・つ・も・の

:今日も当たり前のように居るんだ

:もう同棲しろよ


「えぇ〜……いいですけど第3試合に行ってくださいね」


「鬼畜!」


:草。でも妥当やな

:あおあおゲーム上手いもんな

:頑張れ!愛の力を見せてくれ!


「うぅーー!頑張る!」


「という事で!当日またお会いしましょう!またね〜!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る