第2章

陽菜の配信〜side陽菜〜

「うぃ〜。あおあお様の配信はじまるよ〜」


:来たな、雪ちゃんを誑かした女

:結婚届けは出した?

:キスしてたよね?絶対してたよね?

:さぁ、洗いざらい吐いてもらおうか

:カップルチャンネルじゃないの?


「おぉ〜、皆興味津々だね。まあ、それについて話そ〜って思ってたし、話せる所は話して行くよー」


あの日の配信。今も尚話題にあがり続けている2日前の覚醒配信と呼ばれるあの配信。その日から私がこうして配信をするのは初だ。

本当は次の日にしても良かったんだけど少し間をあけた方が視聴者も集まるかと思って1晩寝かせたのだ。


そして、思惑通りたくさんの視聴者が集まってくれている。元々のリスナー。雪のリスナー。あとは、話題に乗っかってきた人たち。


雪のリスナーは今後ほぼ確実に私のチャンネルを見てくれると予想しているが問題は今の話題に乗っているだけのミーハー達だ。ここの層をリスナーに出来たのならそれは、大きな進捗だ。

雪の隣で堂々と胸を張っていたい。なら、配信者としての人気度だって負けていられない。同じくらいまで行きたい。


「にしてもあの解析動画やばいね〜w」


:あぁ、あれなw

:あれはプロの仕事

:ガチだったな


「うんうん。ちょっと引いたもん。まあ、事実を述べるなら〜キスはしたよ。しかもディープなやつね!羨ましい?羨ましいでしょ」


過去は置いておいて、これから先、雪とキスできるのは生涯私だけだ。私だけの特権…にするつもりだ。なんせ付き合ってる訳では無いから油断はできない。


まあ?あの感じなら、私の事を嫌いってことは無いし、いけるはず。


だってさ、キスしても嫌がらないし、拒否しないし、した後も怒ったりしないんだもん。

これを脈アリと言わずしてなんと言うのか。


:羨ましすぎる

:急に黙ったぞ!キスの事思い出すな!

:これで雪ちゃんを泣かせたら万死に値する

:あおあおなら幸せにできるって信じてる


「絶対幸せにするから、みんな見ててよ〜?そして私たちのイチャイチャチュッチュッを指くわえて見てればいいのさ!」


:むしろ空気として二人を見てたい

:白夜 雪(公式V)¥3000

絶対にしませんから!勝手なこと言わないで下さい!

:言質とった。絶対幸せにしなよ

:嫁さん来てるぞw

:早速拒否られてて草

:これは……ツンデレ!?


「え!?どこどこ?……ほんとだ!居た!

雪ー!見てる?また今度イチャイチャ配信しようね!」


私の配信を見てくれてるのめっちゃ嬉しい。今すぐに家に行って抱き着きたいくらい嬉しい。しかもコメントまでくれて……もうこれは愛されていると言っても過言では無いよね。でもスパチャなんかよりももっと違うものが欲しかったな。


……例えば、使用済みのパ…………いや、さすがにキモイわ。やめやめ。汗を拭いたタオルとか……あれ、これもキモイな。靴下……?ダメだな。


無難にキスが欲しいってことにしとこ。


「雪〜?今度家に行った時にキスしよーね」


:キス宣言!

:非リアに1億のダメージ!ターンエンド……

:白夜 雪(公式V)¥1000

……1回だけですよ



:これで付き合ってないってマ?

:マ


私もそう思う。

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