居場所になりたい〜side陽菜〜

初めて彼女を見た時、これが恋なのかって思い知った。

この歳になってやっと初恋!って訳じゃないけど、一目惚れ?みたいなのは初めてだった。ビビっと電流が走ったみたいな感覚になってその瞬間からもう……彼女。雪ちゃんから目が離せなくなっていた。


雪ちゃんを一言で表すならまさに、『天使』

この一言に尽きる。まず、艶があってサラサラの真っ白の御髪……初めて見た時は外国人?ハーフ?アルビノ?とか色々と疑問に思った。ちなみに今でも解決してない。でも外国人ではなさそう。


次に顔。圧倒的なまでの整い具合。人形ですか?と素で聞いてしまいそうになる。


そしてスタイル。私よりも少し低めの身長でありながら手足がスラッと長くてスタイルがいい。。

……胸も私よりも大きい。ウラヤマシイナ。


そして、私が一目惚れするに至ったであろう最重要パーツ。瞳。


透き通るような碧眼。ぱっちりお目目で可愛い。

……だけど、その瞳にはハイライトが入ってない瞬間が所々で見受けられる。深く、濃い闇を抱えた、そんな瞳をしている。

引き込まれるような暗さがその瞳にはあった。

人を警戒する色が濃く出ていて……でも、助けを求めるような、縋るような、そんな寂しい色も混ざっていて、矛盾を孕んだ瞳だった。


私はその瞳にどうしようもなく引き込まれて、私一色に、幸せの色だけでその瞳を埋めつくしたいって。そう願った。



それから私はたくさんの行動を起こした。コラボのお誘いや仲を深めるための交流会など様々な方法で接触を図ろうとした。


でもダメだった。雪ちゃんは徹底的に人を避けていて、コラボなんて誰ともする気がないと言わんばかりのスタイルを貫いていた。


そんな雪ちゃんは独自の配信スタイルでコラボ無しでも私たちよりも人気を勝ち取っていた。


それが、異次元の長時間配信。一度の配信で10時間より少なかったことは一度もなく、最大で3日ぶっ続けで企画をやり抜いていた配信もあった。


リスナーとの絡みもあり、表面的には病み的要素なんてどこにもなかった。

……でも、私は気づいている。雪ちゃんは配信のために寝ずに頑張ってる訳じゃなくて……眠れないから、その特性を活かして配信をしているんだ。

事実、全ての配信に目を通してるけど眠そうにしてるシーンなんて1秒たりとも存在しない。いわゆる不眠症的なやつだろう。それもかなり重度の。


配信をしている雪ちゃんは確かに楽しそうだ。でも私から見ると、心の隙間を埋めるために配信をしているように見える。人と関わりたくは無いけど心のどこかで寂しさを感じてる。だから対面することの無いコメント、という形で人との交流、コミュニケーションを取って心の隙間を埋めているのではないか……なんて愚考している。


完全に憶測でしかないけど、あの瞳はそのくらい闇がないと出来ない。


人を拒絶したい。人と触れ合いたい。


相反する気持ちが雪ちゃんの中にきっとあるはず。

なら、私が触れ合おう。支えよう。寄り添おう。好きだから、そばに居たいし雪ちゃんの安心出来る居場所になりたい。


無条件で甘えられる、頼れる、信頼できる。

そんな人に……いずれは恋人になりたい。そう願って私は雪ちゃんの家に突撃した。

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