第3話
次の日の朝、坂川は寝起きして目を開く。視界には昨日までとは打って変わって、見慣れない天井が映る。満(夢……か)坂川は大きく息を吐く。心臓が激しく脈打っているのを感じる。坂川が息を吐いた時、「…………」
それは安堵の溜息ではなくただ呼吸をしただけのようだった。それでも坂川は少しは気が楽になった。満「良かった……」坂川はそう呟くと空を見遣った。今日の空は雲一つない快晴の空が広がっていた。太陽の光が坂川の目を掠めていくようで眩しいほどに目の奥が染みる。坂川が寝ていたベッドの横の机はワックスが塗られているのでその反射で余計に光が眩しい。満(あぁそうだったな、僕は異世界へ来てたんだった、この見慣れない天井も机もいつかは見慣れたものになってしまうのかなぁ…。) 机の上には時計が置かれていた。満(今は7時か、朝食は8時からって言ってたし、そろそろ行った方が良いかな?)そんな事を考えながらベッドの毛布を整えてから着替えを始めた。数分後、用意された白地の服に着替えた坂川は自室を出て階段を下ると食堂へと続く廊下に出た。食堂では、修道女達が朝食の準備をしていた。
「おはよう御座います!」と、坂川が挨拶すると、 修道女達も「おはよう!」と返した。修道女達の手伝いをしてしばらく待っているとキッチンから良い匂いが漂ってきた。そして数分後、坂川の目の前には美味しそうな朝食が置かれていた。ちなみに今日のメニューは白米・コーンスープ・和物である。坂川は手を合わせて「いただきます。」と言うとその朝食を食べ始めた。それから坂川は修道院(避難所)を出て街の散策を始めた。最初は中央広場にある大きな噴水の近くで朝市をやっている露店を見て回った。武器屋に行った時にはある剣にどうしても目が行ってしまい思わず手に取った。剣の刀身は綺麗な模様が彫られていた。鞘から抜いてみると刃の部分も綺麗で、切れ味も良さそうだった。見るからにとても良い品だと思った。
「この剣はいくらですか?」と、坂川は武器屋の店主に尋ねた。
「金貨5枚だよ!」と、店主は答えた。坂川は舌打ちをして剣を棚に戻した。
修道院からは生活必需品は支給されても、お金は支給されないのである。「どうされましたか?」と、武器屋の店主が尋ねた。
「この剣が欲しいのですが、お金を持ってなくて」と答えた。「ああ、そういうことかい…すまないねぇ、こっちも商売でやってるから…我慢してくれ。」と、武器屋の店主は言った。
坂川はオーバーに肩を落として凹んだ。そして「やっぱり……異世界でもお金がないと何もできないのか……」と呟いた。「わかりました。」と、坂川は俯きながら言った。「すまないねぇ、でも何か困ったことがあったら訪ねて来てくれよ!話を聞く分にはタダだからよぉ!」と、武器屋の店主は笑顔で言った。坂川は残念そうな顔をして店を出た。あとになって坂川は(お金を稼ぐ方法を見つけないとな……)と思った。坂川は、異世界で生活するためにお金を稼ぐ方法を考えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます