第3話

次の日の朝、坂川は寝起きして目を開く。視界には昨日までとは打って変わって、見慣れない天井が映る。満(夢……か)坂川は大きく息を吐く。心臓が激しく脈打っているのを感じる。坂川が息を吐いた時、「…………」

それは安堵の溜息ではなくただ呼吸をしただけのようだった。それでも坂川は少しは、気が楽になった。満「良かった……」坂川はそう呟くと空を見遣った。今日の空には澄み渡る青空が広がっていた。太陽の光が坂川の目を掠めていくようで眩しいほどに目の奥が染みる。坂川が寝ていたベッドの横にある机はワックスが塗られているので、その反射で余計光が眩しい。満(あぁそうだったな、僕は異世界に来てたんだった、この見慣れない天井もベッドもいつかは見慣れたものになってしまうのかもな…。) 坂川は眠気で数秒間視線が整合できずにいた後、お腹の筋肉を使い腹筋をする様に「よっこいしょっ、」と声をかけてから立ち上がった。部屋に設置されている時計を見て現在の時刻を確認した。満(今は7時か、朝食は8時からって言ってたし、そろそろ行った方が良いかな?)そんな事を考えながら布団を片付けてから着替えを始めた。1分後、着替えを終えた坂川は部屋を出て階段を下ると食堂へと続く廊下に出た。食堂では、修道士達が朝食の準備をしていた。「おはよう御座います!」と、坂川が挨拶すると、 修道士達も「おはよう。」と返した。坂川は修道士達の手伝いをして朝食を済ませた。朝食を済ませて食堂でくつろいでいると坂川が修道女に声をかけた。「あのっ、ちょっといいですか?」と、坂川が言うと修道女は笑顔で答えた。修道女「はい!何でしょうか?」満「あのぅ…職を探したいんですが……」と言った。修道女「そうですね…それでどのような職業をお探しですか?」満「それがそもそも就職したことないし、というかどの職業もよく分からないので何とも…」修道女は「えっと…それは難しいですねえ」と、言った。「ですよねぇ…」と坂川は肩を落とした。さらに修道女は続けて「よかったら修道院の畑仕事を手伝ってくれませんか?人手不足なので……」と、言った。それを聞いた坂川は思わず天にも昇るような気持ちでガッツポーズを取り、飛び跳ねた。この修道院では公共事業のような事を修道院自ら行っているらしい。坂川は喜びを体現したまま「はい!喜んでやらせてもらいます!」と答えたのだった。

翌日から坂川は修道院の手伝いを始めた。朝起きると朝食を済ませて作業服に着替えると、修道院の畑へと向かった。まず手始めに鍬を使って土を耕した。その後、雑草を抜いていく。そして種を蒔いた。それから水やりをする。最後に収穫した野菜を修道院に運んだ。坂川は、この仕事をするうちに体力がついてきたような気がした。坂川はフゥっと深く息を吐いて気合いを入れると作業に取りかかった。やがて時は過ぎ、「ふぅ……疲れたなぁ……」と、坂川は思った。「お疲れ様です!お昼の時間でーす!」と、修道女が労いの言葉をかけた。

その後、昼食を摂ってから午後の作業に取りかかった。今度は開墾作業だ。鎌を使って雑草を刈り取り、一箇所に集めることの繰り返しだ。坂川は黙々と作業をした。その後は夕食までずっと働いていた。坂川は修道院に戻ると夕食を済ませて自室に戻った。直後、ベッドに倒れ込むと深い眠りについた。

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