第5話 戦いの後

 ある日、貫一は、彼らとの戦いに臨む……。

 彼らは、何時もの様に、虚弱な男にイジメをしている。


 貫一は、作業場にいる、そんな、彼らとの戦いに臨む……。貫一は、彼らに向かって、戦いの口火を切った。


 貫一は、彼らに、大声で怒鳴った。

 「やめろ、何の権限があって、そんな事をするんだ…」

 「は、あぁ」

 マサルは、びっくりして、純二と顔を見合わせた。

 マサルは、純二を見て安心したのか、貫一に切り替えしてくる。

 「こいつ、ビビっているぜ…・・・」

 彼らは、顔を見合わせて笑った。

 貫一は、怖かったが、虚弱な男の為に頑張った。


 「おめえ、キックボクシングで、俺に勝てるのか?」

 「見せてやろうか」

 貫一は、挑発しといて、煙に巻く……。

 「ふん、見たくもないわい……」

 マサルは、興奮している。

 騒動をかぎつけた、職員が、そこに、集まってきた。

 マサルは、激しい怒りを感じて、頭に血を上らせていたが、貫一は涼しい顔をしていた。


 マサルは、大声を出して、自分の正当性を訴えたが、それは、職員たちには、理解できるモノではなかった。

 マサルは、罰として、職員の偉い人から、建物の外の草取りの仕事をするように言われた。

 マサルは、渋々、職員に従った。


 こずえは、それを見て、何を思ったのか、貫一から、身を引いた。

 貫一のこずえと仲良しになるという、目論見は外れた。


 貫一は思った。

 ……空しい…・・・

 戦いが終わり、マサルと純二は、貫一に一目置いたが、貫一の心は、それでも、晴れなかった。


 貫一は、お金がない事で、進出できない、中央区への思いが強くなった。

 ……あそこには、輝く宝が埋まっている……


 そこで、講演会が開かれる前に、支持母体である、新潟市こころの健康センターに行って、小説を託してみようと、考えた。

 貫一は、そこに、行く前に、念の為に、自分の作った小説を持って、心の健康センターに、持ち込んでもよいのか? 電話で聞いてみる事にした。


 電話をかけて、話をすると、担当者は言った。

 「ここは、相談業務が主で、精神障碍者の活動には、タッチしないのです、すみません」

 そう言って、担当者は、貫一の話を断わった。


 貫一は、その返事にショックを隠せなかった。

 ここに、前に連絡したとき、講演会に、小説を持っていくことを断られたので、この話が、小説公開の最後のチャンスだったからだ……。


 貫一は、発表する為の道筋が、この話で途切れてしまい、作戦を一から練り直さなくては、ならなかったからだ……。

 貫一にとって、辛い日々が続いた。


 このところ、雨や雪が降って、天候が、不順で安定しない日々が続く,一体どうしたんだろう……。

 そんな、作業所では、分けの分からないことが、起きていた。










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