第3話 勉強

 時は、立春を過ぎるころ、雪もまばらになってきて、いよいよ、待ち望んだ春が来るのか? 暦からも春を思わせる季節、貫一は、実際に、この計画を履行する為に動きだした。


 最初に取り掛かったのは、女性の心理について、学ぶことだった。

 貫一は、ジョン・グレイと、言う人が書いた、「ベスト・パートナーになるために」と、いう本を選んだ……。

 この本の格子は、女性は、相手からの同情、理解、慰め、自分の行動に対する正当性を、強く求め、それが、満たされると、立ち直っていける、と言う話だった。


 貫一は、そういった知識を、知らなかったので、それを、知れば直ぐに、上手くいくと、軽く考えていた。

 一通り読み終わると、分かることもあるが、分からないこともあって、更に、直ぐに実行出来るところもあるが、そうでないところもあった。


 貫一は、70%の理解を目指して、の作業場の数少ない女性に対して、実地を踏むことになった。


 実地を重ねていくと、「中々、上手くいかないなぁー」と言うのが、貫一の本音だった。

 20パーセントの確実に分かる事を、足が掛りにして、理解できない、70%の理解を押し進めていった。


 決して、順番道理に、理解していったわけではないが、分かる所を、ランダムに増やしていって、それらが膨らむことで、最終的に、それらを、結合させて使える様にするのである。


 やがて、分かる所が、60%を超える頃になると、本を読んだ効果が表れるようになった。

 貫一は,やがて、女性の扱いについての70%以上の理解が進み、「ベスト・パートナーになるために」の学習を終えた。


 貫一は、次に、書き方を変えた、女性心理についての本を、取り寄せ、女性心理の勉強を続けていた。どうも、行動と学習に、決まったやり方がない様だ……。


 書類から目を離した、貫一は、ふと、「及川に連絡を取っていないなぁ」と、呟いた。

 ……1度、及川とその仲間と、一緒に、古町辺りを、歩いてみたいなぁ……

 それは、貫一の漠然とした思いだった。


 そこで、貫一は、及川に、夜分に、スマホで、連絡を入れた。

 「もしもし、こばんわ……、及川さん、元気?」

 「おお、貫一、元気、元気……!」

 貫一は、及川の元気な様子に喜びを隠せなかった。


 「いやあ、年の瀬に胆嚢炎で、入院しちゃって……」

 「それは、大変だったね、あははぁ」

 及川は、貫一が、楽しそうに話すので、自分も嬉しそうな気持になった。


 「今度、仲間を集めて、遊ばない?」

 「いいね」

 貫一は、勢いで話を進めていった……。

 「〇△✖▽」

 「▽✖〇◇」


 「ところで、話は、変わるけど、及川さんの、最近はどんな感じ?」

 「変わんないなぁ」

 貫一は、フーッと一つ息を吐き、「ん」と、気を取り直して言った。

 「変わんないのが、一番だよね」

 「うん、そうだよね!」


 それから、貫一と及川は、話し込んで、5分ぐらい、長電話をして、親交を温めた。電話を切ると、貫一は思った。

 ……ああ、楽しかった……


 雪のない、3月の終わり頃に、父の車を借りられるので、貫一は、……祐司と、及川と、清を、乗せて、遊びに行きたい……と、考えていた。


 自分の車は持てず、父から車を借りるという形になるが、借りてしまえば、こっちのもの、後は、どこにでも行けるので、未だ見ぬ彼女の気を引くのには、大きな、アピールになると、捕らぬ狸の皮算用だった。


 後、3週間で、問題の講演会がある。

 ちょっと、頑張らないといけないけど、今、苦労する事によって、将来を明るいモノに、する為に、貫一は、今、アクティブな行動を、起こさねばならなかった。




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