第5篇「Eggs」

二度寝は暇の特権である

私は薄っぺらくとも重みのある布団に

しがみついたまま

もう少しだけ惰眠を貪ろうと決意する


離れがたい卵白と卵黄

記憶の中を漂う朝の香り


白身は何かに使えるかもしれないが

離すときは大抵捨てるのだから

あってもなくても同じこと


それはキミに対して唯一ともいえる

特別性を見出したものだけが

もっともらしく語る理論


離れ難い憂鬱

そうだ改名しよう


私が私でなくなってしまうためには

名前がもっとも重要な楔であると

なんとはなしに思ったもので


それとも解明しようか


キミと私の間の不可思議

付かず離れずの黄身と白身


二つで一つの現れなれど

でも片方だけでいいと言えば

そういうもので


今もうだうだと貪っている

この布団の中の安らぎさえも

剥ぎ取ってしまえばもう必要じゃないのにね


もう朝も夕暮れ

さっきまで遠かった昼間


そろそろベーコンエッグが食べたいな

それはさっきの夢でしょう

ええ、そうね

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