第666連隊

島風ひゅーが

第1話

 激しい砲撃に晒され西部戦線の第8、第11、第17歩兵師団は夥しい損害を出して撤退を開始した。共和国軍は前線を一気に20キロ押し上げ第二戦線まで進軍するとそこで警戒態勢に入る。共和国軍も今度の攻勢で弾薬を使い果たし、第二戦線を突破する余力はない。

 暫く補給を待ちつつ陣地の強化に余念がない。


 この戦況を遠く東部戦線で戦っていたターニャ・デグレチャフ少佐が情報将校から伝え聞くとすぐさま参謀本部に意見具申した。

 つまり西部戦線をさらに第三線まで交代し、敵の主力を奥深くまで誘引したあと南東から精鋭の機械化歩兵師団5、6個とターニャの魔導師大隊で攻勢をかけ共和国軍を一挙に包囲殲滅するというものだった。

 そのためには東部戦線を安定させて背後の安全を確保する必要性がある。

 ターニャは参謀本部からの返信も待たず独断で魔導師大隊で攻勢に出た。

 予め前線の第46歩兵師団長のウェーバー少将を説き伏せ支援砲撃を頼んである。

 この攻撃は功を奏した。

小康状態が続いていた東部戦線のルーシー連邦軍は前線にわたって退却を開始した。

 既にルーシー連邦軍は慢性的な補給不足により著しく士気が低下。兵力で優勢にもかかわらず、塹壕に籠って防御に徹していたのだ。

 前線のルーシー連邦軍を蹴散らしたターニャの魔導師大隊は深追いせずに西へ転進。返す刀で共和国の前線地帯へ攻撃を開始した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る