第6話 慢心してはダメ! 全力で参りましょう!(一敗)
とりまQBが形になった所で、今度は玉をサガスナイパーする事にした。
つべの動画では、スーパーで適当に買ってきたヤツをぶち込んだら二十日後にはチックがまろび出てきなすった的な流れだが……。
実際問題、これは現実に可能なのか?
動画も、20日分をライブした訳ではなく、編集したものであろう。
途中で差し替えなどしていない、という保証なんかどこにもない。
ネットの情報は鵜呑みにしてはならぬ。
必ず裏取精査が必要だ。
生鮮食品コーナーにある食材としての卵は、例え有精卵を謳っていたとしても、流石に相応の処理が施されている筈だ。
(少なくともわーくにに於いては、だが)
グーグルパイセンにピピピと質問しても、流石にそれはないわwと言う感じの結果が返ってくるのみであった。
更には鶏ではないが、
結果として、それらは全て孵化する事なく生ごみと化したようだ。
くさそう。
(一応3つだけ途中まで成長した、所謂中止卵があったようだが、これは勘定に値しないだろう)
ざるそばの薬味であるうずらの卵ですらそうなのだから、もっとデカい鶏卵などはさもありなん、といった所だ。
横着で用意したところでろくな結果にはなるまい。
(例え奇跡的に孵った所で、そいつは恐らく白色レグホン等といった採卵専用の産業ブロイラーで、個人が飼うには適さず、持て余す事は火を見るより確定的に明らかであろう)
となると、適当にスーパーに走るのを踏みとどまり、どうにかして孵卵用の有精卵、即ち種卵を何とか手に入れなければならぬ。
果たしてそんな物、唯の一般人が思いつきで手に入れる事が可能なのであろうか?
困った時に頼りになるグーグルパイセンに聞いてみると……。
なんと、密林にて販売していると言うではないか!
(あるのかよ!)
それはmerry牧場という所と契約している研究団体によるものであった。
そこでは試験用に烏骨鶏を繁殖させているらしく、その際に余ったものを出品しているようだ。
商品(?)の説明を読んでみると、近日に販売終了なのでこのロットが最終とのこと。
値段は6つで3000円との事。
安いな、実質一羽五百円やん。
……烏骨鶏って珍しそうなイメージがあるが、割と普通の扱いの様である。
ふむ、これはどうなんやろな? と感じたので烏骨鶏の事を調べてみる。
名前だけは有名な鶏だが、実際の所どんな生き物なのか分からんので、当然だ。
グーグルパイセンによると、以下の事が分かった。
・一応天然記念物である(特別天然記念物ではないので飼うのも食うのも自由)
・体格はかなり小さい(小型鶏であるチャボと同等)
・非常に憶病である(普通の鶏より輪をかけてビビリ)
・あまり卵を産まないので商業用には適さない(採卵鶏の凡そ六分の一)
・白いのと黒いのがいる。
・何故か脚の指が多い(多指症という先天的障害と同様のもの)
・一応わーくに原産らしいが、諸説アリ。
・食うと旨いが、小さいので可食部分は少ない。
・羽毛に覆われた外見が愛好されている。
等々。
総じると、「食材としては微妙なれど愛玩動物としてはアリ」である。
ほう、これはええかもしれん。
そう思って早速ポチッってみると、到着は11月17日という返信メッセージが届いた。
注文したのは十月の末日であったので、まだまだ余裕がある。
折角だから、今一度自動転卵機能を実現すべく色々試してみるかなと思い立ち、あれやこれやいじることにした。
構想としてはこうだ。
タミヤの工作シリーズでモーターとギヤボックスのセットを購入し、ケースの内側にて、横倒しに取り付ける。
そしてシャフトの片側だけを下側に向け、先端にクランクを装着。
回転と共に、ケースの底にある下敷きが前後に動くという仕組みだ。
おお、これやったらいけるやろ!
そんな根拠のない自信の元、同じく密林にて工作セットをポチってその日は就寝。
後、日々の生活に忙殺され、折角届いた工作セットや孵卵器の事などすっかりと忘れ去って……一週間後。
密林からのメッセージが届く。
「思ったより早く用意できたから送るね! 到着は11月7日だよ!」
huh?
……huh?
はえーよ!
まだ改造してへんやんけ!
(絶叫するぬこミーム)
当然、慌ててケースを改造したのは、言うまでもない。
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