第5話 欲張りの代償

 鼻にこびりついた臭いに悩まされつつも、作業を再開する。


 結局、抵抗熱源は加熱しなかったので、インド方式(電球を使ったヤリ方)に変更。


 電球及びソケットは、学生の時分に使っていたクリップ付きスタンドを物置きから引っ張り出して来て解体した。


 幸いにも昔の電球がまだ使えるようだ。


 そりゃすごいw


 うる覚えだが、しまう直前にそこそこ上等な電球と交換した……ような希ガス。


 何にせよ使えるなら、まぁ何でもいいですけれど?


 しかしそうなると、今度は容器の大きさが足りなくなる事に気づいた。

(段取りgdgd杉内w)


 200円のタッパーにはどう考えても電球など入りそうにも無い。


 またぞろ絶叫するぬこになるのを堪えつつ、部屋を見渡しながら考える。


 その時ふと、大昔……それも20年以上も前だ……に買った、細長いブックケースが埃まみれになって転がっているのが目に入った。


 ……ンン……?


 これ、使えんじゃね?


 早速中身のコミックをぶちまけ、埃を払ってから電球をアタッチしてみる。


 するとどうだろう。


 内側の側面から横向きに電球を取り付けると、あつらえたかの様にぴったりではないか!


 このブックストッカーは、今この瞬間、その為に存在していたのだ。


 きっとそうに違いない。


 多分。

 知らんけどw


 ともあれ、電球とサーモスタットを接続し、コンセントをブッ刺してみた。


 だが、電球は光るどころか、うんともすんとも言わない。


 接続は間違っていないはず……。


 一体何が違うのか、あれやこれやといじっていると、サーモスタットの表示が点滅状態になった。


 もしやと思い調べて見れば……何のことはない。


 設定が「一定温度に達したら冷却する」モードになっていただけだった。


 つまりは、抵抗熱源には何の不具合もなく。

 きちんと設定すれば加熱可能であったという訳だ。

(絶叫するぬこミーム)


 まぁ、電球が繋がったのでこのまま行く事にする。


 素人工作だから、万が一火災になってもコワイし。


 兎に角、設定を「37.8℃」になったら消灯し、「37.5℃」まで下がったら再び点灯という感じにして電源を投入。


 数十分の後、消灯。

 更に数分の後に再点灯を確認した。


 成功だ!


 後はエアフローの為に、ケースの蓋、真ん中にドリルで穴を明け、内側にファンを二基取り憑けた。


 このファンの電源はサーモスタットと同様に12vなので、両者の配線を混成し、acアダプターに繋いだ。


 ……だが、この横着がいけなかった。


 ただでさえ安っぽい部品である。


 コードの戻ろうとする力で勝手にスポスポ脱落してゆくのである。

(絶叫するぬこミーム)

 

 やむを得ず、各種部品をガムテープで固定して対応したが……。


 それでもやっぱり不安定で、迂闊に手を触れる事が出来なくなってしまった……。


 それでも仕様要求は満たしているので、これでヨシとする。


 動いていればいいんだよ!

 大丈夫だ、問題ない!


 平気平気!


 ヨシ!

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る