第3話 オデ、孵卵器、ツクル……
市販孵卵器の目に余る酷さに頭を抱え泣き叫ぶうp主。
だが、何時までもキトゥンのままではいられぬ。
という訳で、再びつべの履歴を漁って必要な情報を収集しなおした。
結果、以下の物が必要であると分かった。
・ある程度の大きさの容器。
・温めるための熱源。
・温度を一定に保つ仕組み。
・加湿の手段。
逆に言うと、これさえ実現できれば何でもいいようだ。
雑な感じだが、大丈夫で問題ないらしい。
欲をいえば自動転卵の機能も欲しいのだが……。
だったら市販の孵卵器を買えよとなるので、無かった事とする。
ひとつづつまとめて行く。
或る程度の大きさの容器。
これは割と適当でよい。
ボウルとかバケツとか……或いはタッパー等。
果ては発泡スチロール箱とか、2㍑のペットボトルなんかでも桶である。
兎に角、卵と熱源が入って保温出来る容器ならなんでもいい。
勿論、火災には注意せねばならないが。
次に熱源。
これは2種類程確認した。
まずは単純に白熱電球。
LEDが主流となった昨今ではあまり見かけないものだが、ホームセンターに行けば普通に200円位で買える。
逆にLEDは不可。
熱を発しないからである。
電球方式はインドとか、東南アジア系の動画でよく見られた方式である。
卵に電球を直接くっつける勢いで詰め込んだ容器。
そこからチックが這い出して来る様は圧巻であった。
逃げきれなかったのであろうか、電球と接触して後頭部がハゲあがったチックが何匹か居たのが印象に残っている。
適当すぎるッ!
いいのかそれでッ!?
これより酷いのは、段ボールに直接穴をあけ、ダイレクトに配線。
電球を設置していく方法であった。
アリエーン!(ラー油!)
普通に火事逝くじゃろがぁ!
動画を視聴して絶叫するぬこミーム状態になるうp主。
なんていうか、兎にも角にも雑。
杜撰、適当、場当たり的であった。
だが驚くべき事に、こんなんでも仕様要求を満たすのである……。
うp主はこのやり方を「インド方式」と名付ける事にした。
(謂れなき風評被害)
もう一つの方法は電気抵抗を利用した熱源である。
あなたは基盤についている縞々の模様が入った、ひょうたんみたいなちっこい部品を見たことがあるだろうか?
それが電気抵抗器というものである。
電子部品にはそれぞれ流していい電気の強さが決まっている。
ぶっ刺したコンセントからいきなり直でビリビリ流すとぬっ壊れてしまう。
それを防ぐために、わざとこの抵抗器を噛ませて電気を弱らせるのである。
そんな部品が何故利用されているのかというと……。
電子部品というのは電気を流すと熱を持つ。
中でも抵抗器は熱を発するだけの部品である。
加熱にはうってつけであると思わないだろうか?
抵抗だけを組んで電気を流せば熱源に利用できるという訳である。
これにpcケースファンを組み合わせればあら不思議。
孵卵器の熱源に早変わりである。
この仕組みは別に珍しくもなんともなく、割と身近にある。
勘の良い人ならすぐ分かるだろう……。
そう、ドライヤーである。
うp主は分かりやすくドライヤー方式と呼ぶ事にした。
3つ目。
温度を一定に保つ仕組み。
これが恐らく最も重要な部分である。
インド方式にしろ、ドライヤー方式にしろ、放置すれば際限なく加熱する事になる。
そうなれば孵化どころか、温泉卵になりかねぬ。
それを防ぐためにサーモスタットが必要である。
そんなもん都合よくあるのか?
動画で使われている装置を密林でピピピと検索すると……。
全く同じものがヒットしたではないか。
値段も800円位である。
主な用途は水温の調節。
かの国製であるが、構造が単純故に仕様要求は問題ないとの事。
センサー類はこれで解決できるだろう……。
最後に加湿の手段。
これは最も簡単。
水で満たした湯呑でも適当に容器内へ放り込んでおけばよい。
「そんな簡単で大丈夫か?」と言われるかもしれないが……。
「大丈夫だ、問題ない」と返せる。
孵化に最適な湿度はおよそ50%らしいが、これは普通に室内に於ける数値である。
わーくには多湿故、特に気にしなくても桶なのだ。
熱源で加熱した分だけ補給できれば良い。
容器内が乾燥すれば、勝手に湯呑の水が蒸発して加湿してくれるのである。
恐らくは一番気を使わなくていい要素であろう。
これらの事を踏まえた上で、孵卵器を構成していく。
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