第41話

【アリシア視点】


 私は分からせを受けた。

 私の体は淫紋で発情している。

 分からせは女を気持ちよくし続けて降りてこられない恐怖を与え続ける行為だ。

 

 最初はよかった。

 ヤリスと1つになる事に抵抗は無い。

 そして何より気持ちいい。


 でも絶頂が続くとそれが恐怖に変わっていく。

 ヤリスに注いでもらうと恐怖と絶望は少し回復する、でもずっとじわじわと苦しめるような負の感情が沸き上がる。

 絶頂し続けて降りてこられない恐怖、その意味を体で感じた。


 私の言葉はメスの声に変えられた。


 私は何度もヤリスの上に座ったまま仰け反り、恋人繋ぎをするその手がまるで拘束具のように仰け反り後ろに倒れようとする体を固定して絶頂が続く。


 ダラダラと汗が噴き出しまるでバケツの水をかけられたように私とベッドが濡れていく。

 それでもよだれを抑えきれない、突かれるたびに理性が吹き飛ぶ。


 吸血で喉の渇きを潤すと体が熱くなり活性化する。

 

 股をずらそうとするとヤリスのピストンのような動きで体位を戻される。

 前に抱き着こうとすると体を仰け反るようにヤリスの動きで操られた。


 前後左右どこにも逃げ場がないまま私は女になり続け、跨って踊り続けた。


 拘束されていなくても操られて拘束されているのと変わらない。


 逃げられない恐怖を受け続け、 「もうやめて」と言おうとする言葉はメスの声に変えられた。


 私は、分からせの意味を体で感じた。


 メスの本能で分からせられた。




【寝かせ】


「はい、ストップです。アリシアさんはすぐに分かってくれました。アリシアさん、分らせを体で分かって偉いです」

「ふー! ふー! ふー! ふー!」


「次は寝かせです。絶頂したくても絶頂出来ない程度にヤリス君がアリシアさんをマッサージします。決して最後まで気持ちよくしてはいけません。一応言っておくと分からせと寝かせは光と影のようなものです。絶頂と非絶頂、厳密に言えばこの2つが分からせる行為でもあります、テストに出るので覚えておいてくださいね」


「はあ、はあ、絶頂しなくていいなら、まだいいわ」

「ヤリス君、私にも注いでください、寝かせの間少しだけ囚人の所に行ってきますので。アリシアさんが動けない今の内に」


 テスター先生が私に見せつけるように女になった。

 テスター先生は卑怯だ。



 私は動けないままその行為を見続けた。


「次にヤリス君、アリシアさんにたっぷりと血を吸わせてあげましょう」


 私はヤリスから貪るように血を吸った。

 体が熱い。

 私の中にヤリスの生命力が満ちていく。


「さて、ヤリス君、前のように後ろからアリシアさんを抱いてベッドに2人で座りましょう。指でたっぷりと、気持ちよくなる寸前まで寝かせをしてくださいね」


 ヤリスが後ろから抱き着いて私を撫でる。

 気持ちよくはあるけれど、絶頂の暴力のような荒々しい気持ちよさではない。


 これなら耐えられる。


「アリシアさん、これなら耐えられる、そう思っていますよね? 分からせを受けて寝かせに進んだ女性は皆同じ反応をします。さて、私は出かけてきますが、2人は自習を続けてください、アリシアさんが何を言っても最後まで気持ちよくしないでくださいね。絶対ですよ。絶対ですからね」


 テスター先生が出て行ってもヤリスのマッサージは続いた。

 私の体が反応してひくひくと震える。


 そして更に気持ちよくなりあと少しで絶頂すると思った瞬間にヤリスの手がピタッと止まった。


「……え?」

「え? 寝かせだから」

「そ、そうよね、うん」


 また私はヤリスのマッサージを受けた。

 


 ◇



「はあ、はあ、はあ、はあ、はあ、もう、もうもうもう、許し、ふっぐ!」

「ダーメ、寝かせだからね。続けるよ」


 何度も絶頂出来ず止められた。

 甘く見ていた。

 私はまるで飢餓状態の中、目の前にご馳走を見せられてお預けを受ける犬のように心を操られていた。

 この調教の恐ろしさが分かると前までは分からせで絶頂を止めさせてほしいと思う気持ちとは全く別の感情が膨れ上がっていった。


『イカせて欲しい』


 ヤリスの女になりたい。


 私はメスになりきれないまま時間を過ごした。


 絶頂していないのにダラダラと汗が流れ、メスで満たされない枯渇感に苦しんだ。


「あん、もう少し、だけ、はげ、しく」

「ダーメ、ダメだよ。まだ寝かせが終わていない」


 私はヤリスに支配されている感覚を味わった。


 味わい続けた。


 よくなりたい。


 もっと責めて欲しい。


 そこで止めないで。


 もっと激しく。


 もっとメスにして。


 満たされないまま私の心は擦り減った。


 気絶できず、


 ずっと操られ続け、


 思い知る。



 ◇



 テスター先生が帰って来た。


「いいですね。アリシアさんの顔、大分仕上がっています」

「はあ、はあ、はあ、はあ」


 私は子羊のように震えていた。


「ヤリス君、また私を女にしてください、アリシアさんの前で」

「ギブ、アップ、するわ」


 もう、耐えられない。

 こんな事、女にする事じゃない。


 メスにして欲しいのにして貰えない。

 でも体は刺激され続けて枯渇感が増していく。


「ダメです。最後まで調教してからじゃないと駄目です。我慢してください。さあ、ヤリス君、ああ、我慢させてごめんなさい。また元気になりすぎていますね。私で気持ちよくなってください」


 私にシテ欲しい事を知っていて、


 テスター先生はヤリスで女になった。


 テスター先生は卑怯だ。


 私はベッドで震えながら倒れて2人の様子を見続けた。




【分からせ寝かせ】


「ヤリス君、私を女に出来て偉いです。次の工程に進みます。次は分からせ寝かせです」


 私は震えた。

 絶頂したいと思えば絶頂させてくれない。

 絶頂したくないと思えば絶頂されられ続ける。

 学園で習う知識だけでは分からない。

 実際に分からせられてから調教を受けるとその恐怖は段違いだ。


「ですがヤリス君、アリシアさんともシタいと思います、最初は分からせで絶頂を与え続けましょう。それに今アリシアさんは絶頂に飢えています、まずは絶頂からです」


 絶頂したい今、ヤリスを拒めない。

 また、始まる。

 私は、分からせられる。



 ◇



 私は、意識が朦朧として子供の頃の事を思いだしていた。

 私は村で育ち、ヤリスとよく遊んでいた。

 ヤリスは私より年下だ。

 でも子供な部分だけじゃなく大人な部分があった。


 ある年に作物が不作になり、タイミングが悪く私の家にある畑がモンスターに荒らされた。

 その時はあまり食べられなかった。


 ヤリスが毎日私の家に来た。

 そして半分に割ったパンを私に差し出した。


「はい、あげる」

「……なんで?」

「だってアリシアは、お腹が空いているよね?」

「ヤリスだって痩せているわ」


 ヤリスが私の口の前にパンを差し出す。

 パンの香りでよだれが出てきた。

 ヤリスは更に口にパンを入れようとしてくる。


 私は我慢できなくなって思わず口に入れた。

 口に入れるともう止まらない。

 半分のパンを全部食べてしまった。


「美味しかった?」

「……美味しかった」


 その時からだ。

 ヤリスは私の弟で、恋する男になった。



 ◇



 私はヤリスに跨って女になり続けた。

 理性が削られ続けよだれを垂らし続けている。

 恋人繋ぎをしていて顔を隠せない。

 ヤリスに見せたくないメスの顔を見せ続けている。


 私は酔ったようにヤリスの上で踊り、恐怖を受け続けた。



 その次は寝かせを受ける。

 絶頂したくてもイケない。

 私は分からせでも寝かせでも完全にヤリスにコントロールされていた。



 ◇




 私は負けた。


 負けているのに責め続けられた。

 

「はい、アリシアさん、良く出来ました。無事1000回私の聞きたい言葉を言ってくれましたね。もう一度復讐です。私とヤリス君がスルのはいいですか?」

「はあ、はあ、はい、ヤリスと先生が、シテもいいです」


「ヨウコさんとヤリス君がスルのはいいですか?」

「はい、ヨウコとヤリスが、シテも、いいです」

「クコロさんとヤリス君がシテもいいですか?」

「はい、クコロとヤリスがシテもいいです」


「出来ればぜひシテくださいと言って欲しかったですが、まあいいでしょう。アリシアさん、ヤリス君と他の女性がシテも、邪魔しませんね?」

「はい、しません」


「所で、どのくらい時間が経ったか分かりますか?」

「分かり、ません」

「予想を言ってみてください」

「4日ほどです」

「違います、14時間しか経っていません。ちなみに時間を長く感じるほど追い詰められている、そういう基準があります」

「そ、そんな、それだけ!」


「今は真夜中です、さて、今日から後4日間、分からせ寝かせをして貰います」

「え? え?」

「アリシアさん、体力が回復すればまたヤリス君が他の女性と結ばれるのを邪魔しますよね?」

「……そんな、ことは」


「いえ、アリシアさん、あなたは愛が強すぎます、恋が強すぎます。気持ちは分かります、愛するヤリス君を独占したい、その気持ちは分かります、しかし、あなた1人ではヤリス君は満足できません。ヤリス君との能力の差を身をもって分からせられてください。今から4日間、分からせ寝かせです」


「そ、そん、な」

「ヤリス君、アリシアさんと1つになる行為、満足出来ましたか?」

「もっと、したい」


「はい、ヤリス君が正直なのは素晴らしいです。アリシアさんに身を持って分からせましょう。もう2度と、ハーレムに対して何も言えなくなるほどに。最初から分かっていましたよね? 1人だけではヤリス君を満足させられないと、1人だけでは無理だと」


 私は分からせと寝かせを受け続けた。



 ◇



 意識が朦朧とする中、私はテスター先生の言葉を聞き続けた。



「分からせと寝かせは光と闇以外にも食べる事と食べない事にも例える事が出来ます。アリシアさんは食事で例えるとたくさん食べたいからヤリス君を独占しようとしているに例えられます、ですが、独占してしまえば他の人が食べられなくなって死んでしまうかもしれません」


 私はヤリスのマッサージで絶頂出来ないまま耐え続けた。


「そう、分からせと寝かせは光と闇のように真理でもあります。この国は皆が善である事により回っています。もし悪が増えれば国は腐ります。王や大臣はかなり人間として立派です、もしこの国の上が堕落していたとしたら私もアリシアさんも性奴隷になっていたでしょう」


 私は絶頂しそうになりそこでヤリスの手が止まった。


「あるいは上がすべての富を独占して民がたくさん死んでいたかもしれません。この国は皆の善意で回っています。皆が力を発揮し、分かち合う事で回っています。アリシアさん、あなたも分かち合う愛を持っています。人に与える愛を持っています。その愛をヤリス君だけでなく、他の女性にも向けてみませんか?」


 私は分からせと寝かせを受け続けた。


「食べられない苦しさ、絶頂出来ない枯渇感は分かりますね? 次は分からせです。絶頂し続けてください」


 ヤリスのオスが大きい。


 ヤリスが私を求めている。

 

 私1人ではヤリスを満足させられない。


 ヤリスの顔を見てまたそれを思い知った。


 そして私は、これから更に思い知らされる。


 私はヤリスに女にされ続け、


 操られ、


 ヤリスに跨って朦朧としたように踊り続けた。

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