第35話

【クコロ視点】


 目が覚めるとベッドに拘束されてヤリスの上に跨っていた。

 へその下に淫紋が張られ光を放つ。


 ヤリスの横にはテスターがいて指示を出している。


「く! 殺せ! 殺せ!」


 カチャンガチャンガチャン!

 もがいても抜け出せない。


「あらあら、そんなに腰をくねらせて、誘っているようですよ」

「ち、違う!」

「ヤリス君、クコロさんと1つになっちゃってください」

「やめ、ふぉん!」


 私はヤリスと1つになった。

 あり得ない、ヤリスは祖父を捕らえられた元凶。

 殺そうと思っていた相手とこのような事をするなど!

 あってはいけない!

 く!

 汚らわしい!

 

「ヤリス君、遠慮せず腰を振りましょう」

「やめ、はあああああああああああああん!」

「可愛い声ですね」


「く、違う、わた、しは! 拷問に耐える、訓練を、つんで、いるうううん!」

「そうですか、でも、気持ちいい事に耐える訓練は受けていますか?」

「そ、それは」

「受けていませんか。そういう経験自体ありませんよね? 見ればわかるんですよ。私はサキュバスの能力を持っていますから」


「……ない」

「ヤリス君、ストップです。え? なんですか?」

「私は、こんな、卑怯な、手に、屈し、ない! 体を奪えても、心まで、奪えると、思うな! 私の心が負けない限り、私を奴隷には、出来ない!」

「そうですか、それは楽しみです」


 そうだ、耐えればいい。

 絶頂を3回時間まで耐えればいい。

 私はこんな卑怯な真似に屈しない!

 耐えて見せる!

 耐えられる!


「……そうですか、私より激しくされるのが好きですか、もっと激しく、もっとかき混ぜるようにシマしょう、ヤリス君、再開しましょう」

「くうう!」


 また私とヤリスが1つになる。


 ヤリスの攻めに耐える!

 

 耐えて見せる。


 私は耐えた。



 ◇



「あら、1回しか絶頂しませんか」

「ふー! ふー! ふー! ふー!」


 耐えた、耐えきった。

 こんな卑怯な事に屈する私ではない。


 だが、テスターのアドバイスで途中、1回達してしまった。

 激しくされると耐えられなくなる。

 だが3回絶頂しなければ私の勝ちだ。


「負けちゃいましたか。2セット目のレッスンを始めます」

「ま、待て!」

「皮膚が赤くなって、汗が出てきましたね? 気づいていますか? 私は発情魔法を使っていません。それでもどんどん体が熱くなっていますね?」


「そ、そんな事は無い」

「本当ですか? ヤリス君に注ぎ込まれると体が熱くなってきませんか?」

「注がれるとどうなる!? 私に、何をした!」


「ふふふ、やはりそうですか。ヤリス君に注がれると体が熱くなって酔ったようになり、体力が回復する、違いますか?」

「く!」


「はい、分かりました、図星ですね、ありがとうございます」

「早く次を始めたい」

「私の体を奪えても」

「レッスン2スタートです!」

「ッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


 ガチャンガチャンガチャンガチャン!

 私の体が仰け反り鎖を鳴らした


 耐えて、見せる!



 ◇



 私は剣聖である祖父から剣を教わった。

 力は男より無かった。

 それでも魔法剣の才能があった。

 剣術と魔法、磨けば磨くほど強くなった。


 私は強くなった。

 周りの兵士より祖国ハートブレイクでは上位の戦闘能力を持っている自負があった。

 拷問にも耐えられる精神力を身に着けた。


 私は祖父を助けるメンバーとしてこの王都に潜り込んだ。

 私がパレードで暴れた隙に他の仲間が祖父を救出する計画だった。

 でもパレード自体が罠だった。


 陽動の私は捕まり、救出部隊も捕まった。

 私は負けた。


 捕まると今度は私を淫紋から奴隷にするという。

 淫紋からの奴隷、それは性奴隷と変わらない。

 こんな卑劣な行為に負けるわけにはいかない。


 体を奪われても、心を奪われるわけにはいかない。

 私は心に誓った。


 耐えると。


 絶対に耐えて見せると。


 3回の絶頂、それを我慢すればいい。


 淫紋の定着さえされなければ奴隷にされる事は無い。


 私の体は拘束されている。


 でも心までは縛らせない。


 私は責められ続けた。




 そして私は、負けた。

 淫紋の札がはらりと剥がれ落ちるとそこには淫紋の光が輝く。


「おめでとうございます。ヤリス君、淫紋の定着おめでとうございます」

「……そ、そんな」

「ヤリス君、淫紋が定着するとヤリス君はクコロさんの発情をコントロール出来ます。要するにヤリス君とスルとクコロさんは弱くなります」


「く、殺せ!」

「クコロさんは心も体も女です。本当に女性的です。健康的な女性は訓練された圧倒的なオスの前ではメスになります。クコロさんが女で本当に良かったです」


 私は、こんなに弱いのか?

 こんなに簡単に、屈してしまったのか?


「まだ続けていいかな?」


「ええ、次の工程に行きます。次は分からせです。たくさん1つになってクコロさんが絶頂して降りてこられない恐怖を味わうまで気持ちよくし続けてください」

「やめ、殺! はあああああああああああああああああん!」


 私はヤリスの分からせを受けた。



 ◇



 私は気持ちよくなり続け、どこまでも空に浮かび上がり降りてこられないような恐怖を味わった。


 出そうとする声はメスの声に変わる。

 

 反応したくない体が反応して鎖を何度も鳴らす。


 痙攣し続け、ベッドの上でヤリスに勝てない事を思い知った。


 気絶しても強力な絶頂で起こされて気絶すら出来ないまま絶頂し続けた。


「怖いでしょう? ヤリス君が本気になれば気絶できないまま追い詰めることが出来ます。分かりましたか? 分からせを肌で感じましたか?」

「ふー! ふー! ふー! ふー!」


「まあ、いいでしょう、休んでください」


 私は気絶するように眠った。


 目が覚めるとテスターとヤリスが1つになっていた。


 2人の行為が終わるとテスターが言った。


「次の工程は寝かせです、ヤリス君、クコロさんを決して絶頂させないでください。絶頂したいと言ってもさせないでください。それが寝かせです」

「指でシタ方がいいかな?」

「ヤリス君、偉いです、そうです、指でコントロールして絶頂させないようにしましょう。ヤリス君は偉いですよ。私は尋問の為に部屋を出ますね」


 テスターが服を着て出て行った。


 ヤリスが後ろから私に抱き着く。


「始めるよ」

「く! 殺せ!」

「だーめ」


 ヤリスが私の脇を撫でる。

 だが、絶頂しないのなら問題無い。

 絶頂しっぱなしの恐怖に比べればこの程度大したことは無い。

 


 ◇



「ふー! ふー! ふー! ふー!」

「絶頂したいって言わないの?」

「ふ、ふざ、けるな、ふー! ふー!」


 甘く見ていた。

 もう少しで気持ちよくなれる、そう思った瞬間に手を止められる。

 まるで水が飲みたいのに水を飲めないような枯渇感。

 何度も気持ちよくなりかけてそれを何度も止められた。


 寝かせがこんなに苦しいとは思わなかった。

 

「女にしてくださいって言わないの?」


 私は首を横に振った。

 振り続けた。

 それは言ってはいけない。


 耐えなければ。

 耐えて耐えて耐え抜く。


 テスターが帰ってきた。


「ヤリス君、うまく行っているようですね」

「うん、でもまだ女にして欲しいとは言わない」

「あらあら、ヤリス君、私を女にしてください。クコロさんの前で」

「な! なんだと!」


「クコロさん、どうしたんですか? もしかして私をヤリス君に女にして貰うのが羨ましいんですか? 羨ましいならヤリス君に一生懸命お願いしましょう」

「く! だまれ!」

「そうですか、ヤリス君、始めましょう」


 テスターとヤリスは私の前で1つになった。

 私はその光景をよだれを垂らしながら見ていた。


 私は耐えた。

 テスターがまたいなくなってヤリスの指が絶頂前に止められても耐えた。



 ◇



 私は何度絶頂前で止められたか数えるようになっていた。

 100回を数えた所でヤリスが声をかける。


「女にして欲しいって言わないの?」

「……もいい」

「え? なに?」

「女にしても、いい」


「ダーメ、ヤリス様の女にしてくださいでしょ?」

「く!」

「でも、クコロが言ってくれたから女にしてあげようか?」

「ほ、本当か!」

「やっぱり女にして欲しいのか」

「く!」


「もう一回言ったら女にしてあげよう」


 言ってはいけない。

 言っては駄目だ。

 言ったら終わる。


「く! 私を、女にしていい」


 どんなに抵抗しても、私の口はそう言っていた。

 心で耐えても体が求めてしまう。


「おめでとう」

「らめえええええええええええええええええええええええ!」


 ヤリスが私を女にする。

 私は女になった、そして快楽を味わい、絶頂しっぱなしの恐怖を与えられる。

 私は何度もやめるヨウにお願いしようとするが絶頂がそれを止める。

 そしてまた絶頂無しの地獄を味わう。

 ヤリスは私が嫌がる方を選んだ。


 私は最後の段階、分からせと寝かせを交互に受けた。


 そして私は遂に言った。


「ヤリス様、私を奴隷にしてください」


 テスターが拍手する。


「やっと認めてくれましたね。ヤリス君、奴隷の指輪を左手の薬指に付けてエンゲージ契約をしてください。契約をしてからじゃないと気持ちよくしちゃ駄目ですよ」


 私が奴隷になりたくないと思えば簡単に奴隷に出来ない。

 でも私は淫紋で快楽をコントロールされ分からせで弱さを知り、寝かせでヤリスと1つにならなければ耐えられない事を思い知った。


 ヤリスと1つになる為なら奴隷になってでも1つになりたいと思っている。


 私の指に奴隷の指輪がはめられた。


「2人でエンゲージと言ってください」

「「エンゲージ」」


 左手薬指の指輪が光った。


「あ、あああああああ!」

「おめでとうございます。これでクコロさんはヤリス君の奴隷です。所で他のやり方だと奴隷にするまで1ヶ月ほどかかります。今回は奴隷化まで何日かかったと思いますか?」


「……7日ほど、だろうか?」

「ふふふ、違います大体1日です」


 そんな!

 長い時間を耐えてきた、そう思っていた!

 でもそうじゃなかったのか!

 たった1日、それだけで私は屈したのか?


 何度も分からせと寝かせを受けた。

 長いと思えた時間は一瞬だったのか!


 私はあまりにも強すぎるヤリスの責めに一瞬の時間を長く感じていた。

 ヤリスの責めをテスターのアドバイスが更に強力にしてヤリスはどんどんうまく、強くなっていった。

 私は時間さえも錯覚していたのか!


「ヤリス君、もっとクコロさんとしたいですか?」

「うん」

「ご褒美をあげましょう。すぐに奴隷になってくれたクコロさんに気持ちいいご褒美をあげましょう。うまくなったヤリス君の技で可愛がりましょう」


「クコロ、気持ちよくしてあげよう」

「く! 頼む」


 私は、


 よだれを垂らし、


 仰け反り、


 言葉にならないメスの声をあげた。


 私は、


 ご主人様と、


 1つになるご褒美を貰って、


 喜ぶ奴隷になった。

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