第17話
「アリシアさん、落ち着いてください、アリシアさんはハーレムの1人としてヤリス君と幸せになれます。ただ他の、そう、ヨウコさんをハーレムに入れればいいだけです。有り余る富は皆で分け合うべきです。才ある者が人は救うべきです。次はヤリス君に助けてもらった戦士の発言です」
また映像が流れる。
クマに殺されそうになった戦士が寝ながら映像に映る。
『ヤリス、ああ、そうか、俺は気を失う前、確かに見た。戦士である俺にしか見えなかっただろう。ヤリスはものすごい勢いで俺の前に立った。そしてクマのボスを殴って1撃で倒した。いや、ギリギリ殴ったのが見えただけだ。戦士になった俺が言うのも変なんだが、ヤリスは格が違う。ただの戦士である俺なんて目じゃない強さを、持っていた。すまん、血が足りなくてな、今は、眠らせてくれ、ああ、最後に、ヤリスにお礼を言って欲しい、ヤリスのおかげで、俺は死なずに済んだ』
なんだこの映像は。
怪奇現象の証言インタビューと戦争映画の味方が死ぬ前の感動シーンが混ぜられたような出来栄えはなんだ?
戦士が眠っただけなのに涙ぐんでいる人もいる。
「はい、映像の通りです。ただの戦士を超えるまで言わせたヤリス君でした。次行きます」
まだあるのか!
次はモーブ君!
『ヤリス先輩ですか? ええ、感想は、凄い人です。僕はたった1日、話を聞いただけで道が開けました。まだ結果は出ていませんが毎日走って治癒力アップのスキルを鍛えます、と言っても、僕はどんなに頑張ってもヤリスさんに追いつけないんだろうなあ。ヤリスさんは自分は出来てないと言っていましたが絶対に違います。ヤリスさんはたくさんやった上でまだ上に昇ろうともがいている、そう見えました。ヤリスさんの言葉を信じかけていた薄っぺらい僕が恥ずかしいです。あれほどの人がまだまだだと言っています。僕は本当に鳥肌が、あ、見てください、腕に鳥肌が立っています』
「素晴らしい鳥肌でした」
いやその言い方はおかしいだろ!
テスター先生がゆっくりと大きな声で話を始める。
「はい、これまでの事をまとめます。
ヤリス君は凄い力を持っている治癒力アップの使い手です。
亜人スキル持ちの生命力吸収と相性がいいです。
そしてヤリス君は凄いのに自分はまだまだだと思う自己認識の歪みがあります。
最後にアリシアさんはヤリス君を独占したいと思っています」
テスター先生は大きな声でゆっくりと説明した。
「その上で、ヤリス君が戦士となり亜人スキルをもった女性とどうすればハーレムを作れるか議論しましょう」
うわあ!
結論が決まっている!
どうやって達成するかの議論になってる!
「反対です!」
アリシアが手を挙げて立ち上がった。
「はい、他に反対の方はいますか?」
「あ、あの、すいません、いきなりなので、その、びっくりしてしまって、時間をください」
「思う所があるのはアリシアさんとヤリス君だけですね? 他にはいますか? ……いないようですね」
テスター先生がまた俺とアリシアの近くに来た。
テスター先生がアリシアの手を両手で握ろうとする。
「触らないでください!」
「どうか受け入れてください」
「嫌です!」
「アリシアさんがはいと言えばうまくいきます」
「反対です! もう不意打ちの状態異常は受けません!」
「そうですか、強いアリシアさんにそう言われると弱い私は困ってしまいます」
テスター先生は本当に弱いのか?
テスター先生からラスボスのような底知れない何かを感じる。
言葉を真に受けてはいけない。
テスター先生がアリシアに近づく。
アリシアが後ろに下がると後ろにいた王の護衛2人がアリシアの腕を掴んだ。
「離して! 離して!」
「ああ、電撃はダメです」
テスター先生がアリシアにキスをしようとするとアリシアが牙を見せるように口を開いた。
「吸血は怖いですね」
そう言いながらテスター先生はアリシアの胸を掴んだ。
テスター先生の両手が魔法で光る。
状態異常をかけながら胸から生命力を吸っている!
アリシアが叫びながら仰け反る。
その隙にテスター先生がアリシアの唇を塞いだ。
アリシアはぐったりとして倒れる。
テスター先生はやっぱり底が知れない。
「今の内に10分の休憩です。アリシアさんは運んでおきます」
テスター先生が怖い。
躊躇なくアリシアに状態異常をかけたり発情させたりするし生命力も吸い取る。
しかもフェイクを織り交ぜている。
でも俺は、そんなアリシアとテスター先生を見て興奮していた。
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