第7話
【アリシア視点】
私は女になった。
◇
私はヤリスと同じ村で生まれた幼馴染だ。
私はヤリスを弟のように可愛がった。
それが恋心に変わるまで時間はかからなかった。
ヤリスは弟で、でも恋する男。
そう思っていた。
でも今は私の上にヤリスが乗って抗えない力で1つになる。
いつも誘ってはいた。
ヤリスが欲望に耐えられなくなるように仕向けてはいた。
でも、実際に1つになってみると主導権はヤリスにあった。
今までは違った。
私がヤリスを起こして、
私がヤリスの食事を作って、
私がヤリスの身だしなみを整えて、
私がヤリスの家事を全部する。
私はお姉さんだった。
私が下でヤリスが上、今この状態がそれを表していた。
私は必死でヤリスの目を手で覆った。
私の顔を見られたくない。
ヤリスを目隠しして視界を塞ぐ。
「アリシア、そんなことされたら、もっとシタくなるじゃないか」
「ま、まっッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!」
さらに激しい責めが始まった。
◇
私は子羊のようにベッドの上で震える。
私はヤリスの視界を塞ぐことが出来ずに最後は諦めた。
冷静を装う。
でも、終わった後に掴んだ枕を思いっきり強く握りしめていた。
「アリシア、疲れた?」
「はあ、はあ、はあ、はあ、つか、れてるわ」
「血を吸う?」
「はあ、はあ、もら、うわ。あっちを向いて」
生まれたままの姿でヤリスがベッドに座り向こうを向いた。
私は後ろから抱き着くように首筋に噛みついた。
私のすべてが回復していく。
でも、熱くなった体は戻らない。
それどころかヤリスの濃厚な生命力は私を酔わせる。
体がまた熱くなる。
それでも、たくさん吸ってあげる。
吸えば吸うほど私は回復する。
吸われれば吸われるほどヤリスが弱る。
最近ヤリスが弱る姿を見た事が無い。
でも、今だけはたくさんの血を吸って私が主導権を握る。
ヤリスが弟で私がお姉さん、それは変わらない。
変えさせない。
私はたくさんの血を吸った。
「はあ、はあ、はあ、はあ、ありがとう、少し吸い過ぎたわ」
「たくさん吸って大丈夫? 俺の血は濃厚で酔うって言ってたよね?」
「はあ、はあ、ええ、でも大丈夫よ」
「凄く、酔ってるように見えるけど」
「大丈夫よ」
「続きをしよう」
「……」
今日のヤリスはブレーキが壊れている。
私が壊したとはいえ、これ以上私がお姉さんでいる立場は壊させない!
ヤリスは弟!
私はお姉さんよ!
「ヤリス、次は私が上に乗るわ」
「いいけど」
「違う体位もいいんじゃない? だって私もヤリスも始めてなんだし」
「そうだね、やってみないと分からない」
「ええ、そうよ、ヤリス、上を向いて寝なさい」
「うん」
ヤリスが言わた通り上を向いて寝た。
ああ、これでいい。
私はお姉さんでヤリスが弟。
これがいい。
私はヤリスのへその上に跨った。
そしてヤリスの体を撫で回す。
「ふ! く! 早く」
「もう、焦らないで」
そう、私はお姉さん。
たっぷりと体を撫で回した。
そして私は腰を浮かせてヤリスと1つになる。
ヤリスが私の両手を恋人繋ぎで握った。
「はあ、はあ、ふふふ、甘えん坊ね」
主導権は私が握っている。
私がシテあげる側でヤリスはシテ貰う側。
私が上でヤリスが下、これがいい。
「アリシア、動くから」
「いいわよ」
そしてすぐに衝撃を感じた。
◇
私は、負けた。
この体勢が、こんなにいいなんて、知らなかった。
吸血で敏感になっていた私はヤリスの男をこれでもかと感じていた。
ヤリスは下から私を操った。
立ち上がろうとするとヤリスが私に衝撃を与えて女にする。
その度に私は仰け反り立ち上がる事が出来なくなった。
ヤリスを見下ろしていた私はいつの間にか弓のように仰け反らされて天井を見ていた。
恋人繋ぎにした手は甘えているイメージと全然違った。
あのつなぎ方は私を拘束する鎖と同じ。
いくら後ろに仰け反っても手がピンと張って抜け出せない。
前に倒れこもうとするとまた弓のように仰け反り体をずらそうとすると弓のように仰け反らさせられる。
私は天を見上げながらベッドの上でヤリスのお姉さんになれない事を思い知った。
私はヤリスに操られ、踊らされていた。
私はベッドの上で震えながら息を整える。
「よだれがでちゃったね、今拭くから。股も拭こう。体を鍛えてるから血は出てないみたいだけど、また洗おうか?」
学園生の女子なら避妊の魔法をかけてある。
妊娠はしない。
でも、女になるのは抑えきれない。
避妊の紋章は私がメスになる事までは守ってくれない。
「はあ、はあ、もう、寝るわ」
「うん、シタくて、たくさんしてしまった。あまり時間は無いけど朝までゆっくり休もう。朝の食事は無しにしよう。シャワーだけ浴びて学園に行こうね」
ヤリスが私を拭いて頭を撫でる。
そして気を使って部屋から出て行こうとする。
終わった。
でも、気を使って出て行かなくてもいいのに。
一緒に眠って朝、目を覚ます。
それでいい。
それがいい。
私はヤリスの手を掴んだ。
「……」
「どうしたの?」
私は無言でベッドの隅に寄った。
そして上にかけて貰った毛布を腕で開ける。
「ねえ、一緒に寝ないの?」
「いいの?」
「いいわよ」
ヤリスが私に近づいてくる。
ふふふ、ヤリスはやっぱり、私の弟。
私が撫でて一緒に眠ってあげる。
「へ?」
ヤリスが私に抱き着いて胸を揉んだ。
「はあん! ちょっと! そう言う意味じゃ、ただ寝るだけッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
それだけで分かった。
私はヤリスに気を使われていた。
もっとスル事が出来きたのに力を押さえられていた。
私はまた、
ベッドの上で、
ヤリスに操られて、
負け続ける。
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