【ニ十首連作】百合の花が咲いている

御厨カイト

短歌二十首「百合の花が咲いている」


この想いきっと届かないからせめて夢で逢えますようにと願う


鏡前きょうぜんに君とのキスを空に見るこの感情がいびつと知れど


朝露に濡れる花びら君想うしずくとなり伝うは愛情


煙草吸うあなたの横に立ちたくて咳五回してもただ強がる


唇の前までいって右逸らす できない私の意気地無しよ


カーテンのひらりと舞う裏 手を絡めここは世界だ二人だけのね


決心のつかぬ彼女の唇を我のルージュで塗り替えようか


「愛せない」そう言う君がロボならばリセットボタン爪楊枝で押す


色々なハジメテを知る秋と君オトナチックにビタースイート


人体で最も敏感なセンサー同士を共に交じわらせる


顔・眼鏡 口・鼻・ほくろ 胸・鎖骨 どこをとっても君マエストロ


指先まで君の事が愛おしいガリッと噛んで指輪の跡を


開かれた足の付け根にキス落とし心の導火線に火がつく


唇の錠を舌で抉じ開けて貴女の事を連れ去りたいな


地獄へと誘う声が甘美なり貴女の檻へ堕ちてしまうよ


貴女の毒牙を抜く為にしつける 勘違いなど我のみでいい


蜜のある林檎手に取り我齧り 口に広がるキミの恋慕か


「別にその口つけてたのでいいよ」と別に好きじゃないチョコをねだる


私が作るグラタンが好きと言う そうか私はうなじが好きよ


首に手を当てて感じる鼓動の音 確かに君はこの世にいるんだ


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【ニ十首連作】百合の花が咲いている 御厨カイト @mikuriya777

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