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ビスは、トイレへ入るや否や、思い切り嗚咽をしました。吐き気が込み上げ、吐き出すそぶりをしますが、何も出ませんでした。涙はとめどなく溢れ続け、しきりに鼻水をすする音が、辺りには響き渡りました。彼の頭の中では笑い声が、自分のことを小馬鹿にして嘲る声が騒音のように鳴り響いていました。
彼にとってこれは、ありふれたことでした。しかし、だからと言って慣れっこだというわけにはいかなかったのです。彼はこのクラスになってからは、毎日のように同級生にいじめられていて、その度に学校が嫌にもなりましたが、それでも家にいるよりはマシだと思ったので、何とか我慢をしながら登校していました。
けれど我慢すればするほど、心には少しずつ傷がついて、ぼろぼろになっていくのを感じました。いつしか彼はこんな風に考えるようになりました。
――ぼくはなんで生きているんだろう?
その言葉を頭の中で繰り返すごとに、彼は胸がきつく締め付けられ、痛むのを感じました。そしてそのたびに思うのです。
――ぼくは生きる価値のないネズミなんだ。
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