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 やがて二匹は目的地へと辿り着きました。


 彼らの目の前には全面がガラス張りで、ネズミの背丈よりも何千倍も高いビルがそびえ立っています。高さ地上三百メートルにもなるこのビルは、数年前に建てられた、この街で最も高い建築物です。


 ビルには四角い窓がびっしりとはめ込まれていて、その多くの場所ではまだ明かりがついたままになっていました。イートゥル・アド・アストラと名付けられたこのビルは、ネズミにとっては(もちろん、人間にとっても)あまりにも大きく、見上げてもてっぺんの部分が見えずに、危うく尻餅をつきそうになるほどです。アストラの低層階には数々の高級な飲食店や洋服店が入っていて、ネズミの住む環境としては最上とも呼べる場所の一つです。


 彼らはアストラの正面玄関の脇から地下へと潜って床下街道へと入っていき、街道を真っすぐに進みました。街道は、長い一本のまっすぐな通りになっていて、通りの両サイドにはネズミのための飲食店が数多く軒を連ねています。学校終わりのこの時間帯は、ネズミたちにとってちょうど朝御飯(私たちの感覚では、晩御飯になりますが)の時間なので、通りいっぱいにネズミ達がひしめき合い、お店を決めあぐねているところでした。


 お店からはチーズやソーセージの香ばしい匂い、トマトやバジルの瑞々しいフレッシュな匂いなどが混ざり合って届けられ、二匹の鼻腔をくすぐって、彼らはより空腹を感じました。街道をしばらく進んだ突き当たりに、彼らの家はあります。トルエとハナは少し足早になりながら通りのネズミたちの合間を縫って進んでいきました。


 十分ほど歩き、集合住居のエリアまでやってくると、彼らは自分たちの部屋の玄関をくぐり、家の中へと入りました。家はほどよく薄暗く、湿度も温度も最適で、外の冷えた空気を忘れさせる、心地のよい感じがしました。と言うのも、ここはこの街の中でも特に立派な家だからです。今ではネズミの社会も立派な資本主義社会になりました。彼らは人間から実に多くのことを学んだのです。

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