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 やがて、全ての授業が終わりました。


 東の空からは、白く光る太陽が徐々に浮かび上がってきて、お月様は隠れ、今日という一日の終わりを告げました。ネズミたちはすっかりとくたびれて、皆が空腹を感じはじめていました。それで彼らはダラダラとおしゃべりをしながら、帰りの身支度を始めていきました。


 しばらくすると、全部で六つある教室からほとんど同時に生徒たちが出てきたために、教室の廊下はネズミで溢れかえりました。その中には、ドブネズミにクマネズミとハツカネズミ、オスネズミにメスネズミ、毛の灰色のものに、白色のもの、身体の大きいものに、小さいもの、なんだって見つけることが出来ます。


 大抵のネズミは、安いレストランだとか民家の、地下や屋根裏に住みついていて、向かう方角はだいたい一緒です。つまり高層ビルが立ち並んで、人間たちがせわしなく行き交う街の中心とは反対の方角へと、向かっていきます。彼らは仲の良いもの同士で集まって、笑ったり叫んだりしながら帰路を歩み始めました。


 こうしてみるとネズミの学校というのは結局、私たちの学校とそんなに違いがあるものではないのです。

 

 ネズミたちの中には少数ですが、都会の中心に住んでいるものもいて、彼らは大勢が向かうのとは反対の方角へと向かっていきます。


 その中に、トルエの姿もありました。彼は今では少し落ち着きを取り戻していましたが、やはり釈然としない、悶々とした想いが頭の中で渦巻いていました。

 それは怒りなのか呆れなのか悲しみなのかよくわからない、もやもやとしたわだかまりとなって、彼の頭を支配していました。少なくとも彼は、フォルのことが前から好きではありませんでした。彼は他のネズミのことを一々と気にして悩んだりすることは、これまでほとんどなかったのですが、いつもふざけた態度でいて、先生に迷惑ばかりかけているフォルに関しては、疎ましく思わずにはいられなかったのです(彼はまじめなんですね)。


 今回の一件は、彼のそうしたフォルに対する印象をより色濃くするものとなりました。彼はそんな風に、フォルのことばかりを考えながら、自動車や通行人が行き交う道をとぼとぼと歩いて進んでいきました。

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