第7話 親友のお願い
一応前話修正したから、暇あったら見てください。
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「———ミスったな……絶対名前言うんじゃなかった」
ヤバい美少女から全力で逃げ仰た次の日。
晴れ渡る晴天の空と清々しい爽やかな風と反比例する様に、俺は教室の自分の席で自らの失態に頭を抱えていた。
アホだろ俺……。
あんな地球じゃあり得ないファンタジー能力持ってる奴にホイホイ名前教えるとか馬鹿すぎるだろ……。
「流石に過去に戻ることはできないよな」
剣聖、魔法は本当にカスだったからし。
その代わり剣術に極振りしてんだけど。
因みに教室での俺の席は、廊下とは反対の後ろから2番目というそこそこいい位置だ。
今の時期なんかは暖かい陽の光で超絶気持ちいい睡眠へと誘ってくれる。
俺は現実逃避も兼ねて寝ようと机に突っ伏そうとしたのだが……その前に話し掛けてくる者が現れた。
「お? どうしたんだよ、剣人? 朝っぱらからそんな浮かない顔して」
「そう言うお前はいつも能天気のアホで人生楽しそうだよな」
「ちょっと待って。もしかしなくても今物凄く貶されたよな!?」
「褒めてるだけだ」
「あ、それならいいや」
このチョロい馬鹿の名前は、
身長は175センチとそこそこ高く、体付きも細マッチョで茶髪黒目のイケメンだ。
これだけ見れば陽キャっぽいが……どうやら神は完璧が嫌いらしい。
何を隠そう透は、親しい奴以外と会話どころか目を合わせようともしない———俺以上の根っからの陰キャなのだ。
ただそのルックスから母性溢れる年上のお姉さん達からは大人気であるのだが。
俺は寝るのは諦め、前の席に座って何やら相談したげな気配を纏った透に問い掛ける。
「はぁ……それで、俺に相談って何だ?」
「な、何で分かった!? それに何か普段と雰囲気が全然違うし……」
不思議そうな透の言葉に、俺の眉がピクッと動いたのを感じた。
「……雰囲気?」
「あ、あぁ。普段の剣人はもっと気弱というか、自分に自信がなさそうと言うか……でも今は落ち着いてるって言うか大人っぽい雰囲気が……」
気弱で自信が無さそうで悪かったな。
ただ、お前にだけは死んでも言われたくない。
「俺のことはいいだろ。いいから早くお前の悩みを教えろ」
「やっぱり違「早くしろ」———剣人は学校の5大怪奇って知ってる?」
5大怪奇?
学校の七不思議的なやつか?
「さぁな。生憎友達が少ないせいで知らん」
「いや友達少ないのは俺も一緒……ってのはどうでも良くて! 俺の頼み事って言うのがな———一緒に解き明かそうぜってこと!」
頬杖を付いて聞いていた俺に、透がキラキラした目で言う。
そんな心底楽しそうに話す透を見て、俺は思い出した。
そう言えばコイツ、厨二病だったな、と。
「———やはり怪奇といえば夜! あぁ、我の闇の神眼が告げている! 今日は何かと邂逅することになるとな!!」
「そうか。そりゃあ良かったな」
2日連続の夜。
ただ街頭のお陰で森の中より断然明るい。
俺は夜の学校と言うだけでテンションを上げる漆黒のローブを羽織った透を横目に、校舎を見上げる。
……つい心配になって来ちまった。
ただ昨日のことがあると、な……。
つい昨日妖怪みたいな奴と退魔師的なヤバい女に会ったばっかりなのだ。
今回の学校の5大怪奇がどうもただの噂ではない様な気がしてならない。
透は厨二病で馬鹿で能天気だが……俺の大切な友達だ。
折角剣聖から力を貰ったのだから守らないわけにはいかない。
「ところで我が盟友よ……其方も遂に目覚めたのか……!?」
夜型厨二病の透が片目を押さえ、もう片方の手で俺の腰にある木刀を指差す。
俺が誤解している透に訳を説明しようと口を開———く前に俺へと手を翳してきた。
「いやみなまで言うな……遂に我が盟友も此方の世界に
「いや違うわ。学校に不審者がいたときのための護身用な」
「またまた〜〜素直じゃないな、我が盟友よ。そんな恥ずかしがることではないぞ!」
どうしよう、今すぐ置いて帰りたい。
俺は物凄い帰りたい欲求に襲われながらグラウンドを走り回る透に尋ねる。
「ところで学校の5大怪奇って何なんだ?」
「うむ。5大怪奇とはな……『グラウンドの真ん中に立つ謎の少女』『異界へ続く体育館倉庫の扉』『本が自我を持って飛び回る図書室』『旧校舎3階トイレの呻き声』『0時に屋上に現れる神社』の5つを指すのだ」
……本当にそんなモノがあるのか?
確かに『グラウンドに立つ少女』や『本が自我を持つ』、『トイレの呻き声』はまだ学校の怪奇っぽくてあり得そうに聞こえる。
だが屋上のやつとか体育館倉庫は甚だ本当か怪しい。
「……お前、でっち上げてないよな?」
「断じて違う! 我はそんなことしない!」
「だよな。お前、嘘吐く時目がキョロキョロするし」
「そうなのか? 我にそんな癖があったのか!?」
ただ透の妄想でないとなると……。
「———アイツは幽霊なのか?」
「え?」
ほらグラウンドに立っている少女。
こっち見てるぞ。
俺がグラウンドの真ん中で棒立ちする制服姿の少女を指差して言うと……透は目を回して気絶した。
……おい、誘った張本人が気を失うのはズルいだろ。
俺は倒れた透を抱え、ジッと此方を見つめてくる少女を眺めて……小さくため息を吐いた。
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ここまで読んで下さり、ありがとうございます。
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