デブ太じゃねえか!!

いぎたないみらい

絶望による怒り→目標設定

10コ離れた兄はギャルゲーが好きだった。

5歳のとき、初めて見た画面は、綺麗で可愛い女の子たちが映っていていて、キラキラしていた。平々凡々な私はそれを見て思った。


ーーーこんな風になりたい!  と。


それからは頑張った。マッサージ、運動、ケア。中2でメイクやネイルに手を出した。高校の文化祭でミスコンに優勝して、あとはよくモテた。

大学の入学式前日に両親が借金を遺して死んだ。300万あったから、水商売をした。これがなかなか成功して、3年で返済額が残り5万だった。ガチ恋客に刺されて、私は21歳で呆気なく死んだ。


ーーーおにい、残り全部返せるかな~…


とか思ってたら声がして、目をこじ開けたら、なんか男に転生していた。


ーーーおお、漫画だなあ。魔法使えるかなあ


なんて、思ったりしてたけど名前を聞いて、絶望した。

九頭木 翔太(くずき しょうた)。私が憧れたあのギャルゲーの、最悪最低のクズキャラ。通称デブ太。

家がかなーりの金持ちで、やっとこさ生まれた第1子。故に小さい頃から甘やかされ、我が儘放題、やりたい放題。ゲームでは、3年間ストーカーした攻略対象ちゃんと同じ高校に行くために、裏口から入学し、主人公をイジめるわ、攻略対象ちゃんを囲むわ、バットエンドでは催眠かけて無理やり結婚するわのどキモキャラ。しかも、ストーカーしてる子以外の攻略対象ちゃんたちにも目をつけてて、事ある毎に主人公を怪我させに来る陰湿野郎。


ーーーふぅっざけんなあぁぁぁぁっ!!誰だ私をコイツに転生させた奴はあぁぁぁぁっ!!!出てこいやゴルァァァァ!!!!


と、思わずなってしまったのはご愛嬌。

赤ちゃんの姿なので、突然

「うばあだばあぁぁぁぁっ!!」

とか言い出してびっくりしただろうなあ、お父さん、お母さん。いや、すんません。


1歳になって、自分の顔をよくよく見てみたとき、私は思ってしまった。


ーーーコイツ…!磨けば光る…!?(キュピーン!)


丸顔でむちっとしていて分かりにくいが、目元が意外と涼しげで、鼻も割りと高いほう。

あ。お父さんとお母さんに離乳食たーっぷり食わされてるけど、もしかしてこれのせいか?太ってたのそれ原因?

あれ、じゃあ、私。何事もなく、今度こそ幸せに暮らせるんじゃね?

痩せれば、モテるんじゃね?

可愛い女の子と結婚できるくね?



ここから私の、人生を賭けたイケメン計画が始まる。



そしてまさか、主人公がおにいのプレイヤー名だとは、1mmも思わなかったである。



To be continued! しない。

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