第3話

香織と涼介は、再び事件現場である厨房に戻った。彼らは慎重に一つ一つの物を確認し、犯人が残した痕跡を探し始めた。


「ここに、何かが隠されているはず…」香織は呟きながら、棚の裏や冷蔵庫の中を調べた。


涼介は一つの引き出しを開け、中に小さな紙片を見つけた。「香織、これを見て」


紙片には、細かなメモが書かれており、その内容はレシピの一部のようだった。犯人が急いで持ち出した際に落としたものかもしれない。


「これは…犯人がレシピを盗む途中で落としたものね。これを元に犯人を特定できるかもしれないわ」と香織は目を輝かせた。


二人はそのメモを注意深く読み取った。メモには、特定の調味料とその配合比率が記されており、その内容は秘伝のレシピの一部に間違いなかった。


「この筆跡、どこかで見たことがある…」香織は眉をひそめた。


涼介は慎重にメモを確認しながら言った。「これを手掛かりに、従業員たちの筆跡を確認してみよう。おそらく、誰かがこのメモを残したんだ」


彼らは再び従業員の元へ戻り、それぞれの筆跡を確認するためにレシピを書かせた。山田達也、田中美玲、木村勇人、それぞれの筆跡を慎重に見比べる。


その中で、一つの筆跡がメモと一致した。田中美玲の筆跡だった。


「これは…田中美玲の筆跡だ。彼女が犯人なのか?」香織は驚きを隠せなかった。


その瞬間、厨房のドアが急に開き、田中美玲が涙ながらに飛び込んできた。「私がやったの…ごめんなさい、でも全部の真実を知って欲しい…」


香織と涼介は息を呑んだ。その言葉には、まだ隠された真実があることを感じさせる重みがあった。


「美玲さん、話を聞かせてください」涼介が優しく促した。


田中美玲は震える声で語り始めた。「私は、店を良くしたいと思っていました。でも…あの日、ある人物から命じられて…」


その言葉を聞いた瞬間、香織と涼介の背筋に冷たいものが走った。事件はまだ終わっていない、背後にはさらに大きな陰謀が潜んでいる可能性があった。


「その人物って、一体誰なの?」香織が息を呑みながら尋ねた。


田中美玲の目に浮かんだ恐怖の色が、事件のさらなる深層を予感させた。「その人物は…」


言いかけた瞬間、店の電灯が一斉に消え、暗闇が二人を包み込んだ。その静寂の中で、背後から何者かの気配が近づいてくるのを感じた。


「香織、気をつけて!」涼介が警戒の声を上げたが、次の瞬間、何かが彼らを襲った。果たして、背後に隠された真実とは…?

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