くらげ
れい
第1話
ぷかぷか浮かぶ、海の底。 上はキラキラ、みんな輝いている。 わたし?わたしは、輝いてない 光の当たらない場所を探して、ひっそりひとりぼっち。声をかけて貰えるまでずっと、1人この空間の隅っこで膝を抱えてうずくまっている 寂しくなってきて、少し自分の袖を振ってみた。 けれど、光のないこの場所では輝くことがなくて、暗闇の中、何かが少し蠢いただけ。 それでも、暗闇の中でも綺麗だ。なんて思って自分の袖をパタパタしていた、そしたら声をかけられた。
「ねえねえ、君のお袖、キラキラしてて可愛いね、どうしてこんな所にいるの?」 少年のような幼い声、意図は分からないけど、勿体ないって言いたいのかな?
「ここが落ち着くの。上の世界は眩しくて」
寂しくて
「そっかあ、でも君の袖はとっても綺麗だから少し上に上がってひらひらさせてみようよ」
悪くないな、と思った
「君が連れていってくれるなら、行く」
1人は寂しい
「ぼくはあそこには行けないんだ」
なんでだろう?そう思って初めて声をかけてきた君を見上げた。 君は、私と、みんなと同じではなくて、キラキラがなかった。君についているのは、キラキラではなくて黒い石のようなもの。 でも、そんなのどうでもよかった。キラキラしてなくても、私はそばにいて欲しい。1人は嫌なのだ。 それに、1人で動く気にもならなかった。 誰かに手を引いて、連れて行って欲しい気分だったから。
「私は、あなたが光ってても、光らなくても、構わないの。だから、手を引いて貴方が私を連れていきたいと思うところに連れて行って」
君は、驚いたように目を瞬かせた。
「僕でもいいの?僕が、連れて行っていいの?」
「うん。君の好きなところに連れて行ってよ」
1人じゃなければどこでもいいから。 私はこのまま海の底でみんなを見ていても構わない。君がいてくれるならそれがどこであっても変わらないから。
「こっち!光の当たる僕の好きなところがあるの」
君の手に引かれるがまま、連れられて行ったのは光が差し込む素敵な場所だった。 他に誰もいなくて、私達だけだ
「ねぇ、ぼくとおどってくれる?」
「いいよ」
袖を引き合い、くるくると回る。 君が楽しそうに踊るから、初めは乗り気ではなかった私まで少し楽しくなってきた。 私達は空間全部を使って回った。 そのうち、私は気がついた 君の袖がキラキラ光っていることに。それも、私のよりもとても強く、美しい輝きをしていることに。 でも、何も言わずに踊り続けた。 君に袖がキラキラしてることを伝えたら私ではない誰かのところへ向かってしまうと思ったから。私が君を、独り占めしたいから。 きらきらぷかぷか 彼女達はまわり、うかび、袖をはためかせる。 美しいその輝きはひっそりと広まり、周りに受け入れられていくのであった
くらげ れい @waiter-rei
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