白い本の夢

 今日、僕は一冊本を読んでいた。

 というのも、さっき思い立って本棚を整理していたら、奥の方からこの本が出てきたのだ。

 でも、この本はどこかおかしかった。表紙は白く、タイトルはどこにも書かれていない。それに、「ページが抜けている」というか、「ほとんどのページが抜けている」状態なのだ。どけだけめくっても、白紙ばかりが続く。もはや、「本」と呼んで良いのかすら分からない。

 「こんな本、どうでもいいかな……」と本を近くのクッションに投げた時、偶然開いたあるページに目が止まった。

「何、この問題……」

 僕にとっては難しそうだったけど、それ以上に面白そうだったので、試しに読んでみることにした。

 

「えーっと……」

〈問:ある男・Aが偶然入った店で別の男・Bと出会う。二人はすぐに意気投合した。ある日、二人が車で峠を走っていると、突如Aが頭を抱えて苦しみ始めた。何故か。〉

 とりあえず、机から紙とペンを引っ張って、考えられる可能性を書き出すことにした。

〈・持病?

 ・車酔い?

 ・何かを思い出した?〉

 しばらく悩んだが、全然可能性や仮説が出てこない。どこかに何か書かれていないかもう一度本を見ると、右下に小さく書かれているのを見つけた。目を凝らすと、「次ページに答えあり」とある。これ以上は思いつきそうに無かったので、早速ページをめくってみた。

〈答:Aは刑務所から出たばかりで、ちょうど苦しんだあの峠で捕まっていた。なお、Bも共犯だった。〉

「……いや分かるか!」

 思わず叫び再び本を投げそうになったが、他の問題も気になる。何とか自身を宥め、次の問題を見ることにした。

〈問:ある男性が西の国から極東の国へ旅に出ることにした。旅は順調に進んでいるように思われていたが、後に男性は遺体となって発見された。何故か。男性に何があったのか。〉

 ……またよく分からない問題だ。でもせっかくだし、考えてだけみることにした。

〈・事故死?

 ・他殺?

 ・それとも自殺?

 ・いずれにしても原因は?〉

 ……やっぱり分からない。この手の問題が苦手なのかな、とも思いつつ、ページをめくってみた。

〈答:男は自殺していた。旅の道中で彼はプレッシャー(詳細不明)に耐え切れなくなり、自ら命を絶ったのだ。〉

「だから何でそうなるの……」

 しかし、本につっこみは届かない。それに、時計はあれからだいぶ時間が経ったことを示している。

 本を本棚に戻した後、僕は本棚の整理を再開した。

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