第13話 オダジマと日焼け 意外と知らない日焼けサロンの実態

 オダジマと日焼け 


 今、わたくしは、週二回、日焼けマシンに入って肌を焼いています。一回一五分(一一〇〇円)で、一ヶ月程度続けると十分黒くなるので、相当強烈な紫外線です。


 日焼けするのは、私がボディメイク(細マッチョ)の選手をしているからで、黒いほうが筋肉のキレがよく見えるからです。競馬場のパドックで競走馬を見ると良く分かりますが、白い馬と黒い馬がいれば、同じ筋量でも黒い馬のほうが筋肉隆々に見え、白い馬はボヤーっと見えてしまうので、人気面でも多少差がつくことになります。ということは、マッチョコンテストでも黒いほうが有利ということです。


 日焼けは、日焼けサロンではなく、通っているゴールドジムのタンニング(日焼け)ルームでやっています。マシンは、ベッド型と縦型がありますが、わたくしはベッド型のほうが好きですね。 というのも、理論上、腕を上げていないと、脇の下が焼け残ってしまうので、一五分間ずっと両手を挙げているのですが、縦型だと

捕まった宇宙人(https://www.j-cast.com/2012/04/25130365.html?p=all)みたいな恰好でずっと立っていなければならず、大変に疲れる上に(筋トレ後だし)、なんか情けなくなるからです。


 そういうわけでベッド型を愛用しているのですが、これはいわば巨大棺桶みたいな箱だと思って下さい。フロントで貰ったコインを入れ、フタをギギーと空けて内部に横になり、もちろん鍵などかからないのですが、誰かが外で「ヒヒヒ、もう出られないよ。」とか言って、ガチャンと閉じられたらどうしよう、みたいなことを毎回考えて背中がゾクっとしますが、そうしているうちにブーンと音がしてライトが点灯することになります。強烈な蛍光灯みたいなものだと思って下さい。


 それで皆さんご存知ないと思いますが、基本的にタンニングは素っ裸で実施するものです。そうでないとパンツのところだけ焼け残っちゃうでしょう? そして、上からも下からも紫外線の強力なライトが当たるので、日光浴と違ってひっくり返る必要がありません。ですが、やはり全身ムラなく焼きたいので、横になったり、うつぶせになったり、足を上げたり、いろんな格好をすることになります。全裸でやってますので、結構情けないです。


 作動中のマシンの内部は強力なライトが点いており、ファンで風は通るものの、大変暑いです。ということは汗もダラダラかくことになります。するとご想像どおり、大変おぞましい感じですが、うつぶせ時には、ある人体の一部の近辺も汗でニチャニチャになってしまいます。

 んが! そんなことは言ってられないのです! 日焼けマシンとはそういうものなのです! 美黒バンザイ! とか言ってる間に一五分が経過して機械からピーピーと音が鳴り響き、あれほどまぶしかったライトがぱったり消えて、静寂が訪れるのです。


 わたくしは、マシンのフタをあげて、ニチャニチャの身体をヌルヌルと外に出し、「フヒー」とか言いながら汗を拭き、部屋に置いてあるクリーナーとペーパータオルでマシンを綺麗にします。そうです。意外なことに使った人が自分で清掃するのです。もちろん、入ったときよりも清潔にして出ることを心がけています。 「みんながそうしてくれる」という信頼のもとに成り立っている美しいシステムと言えましょう。


 どうせすぐシャワーを浴びるので、パンツ一丁でドアから首だけ出し、キョロキョロと確認してから、男子ロッカールームに駆け込みます。そして、パンツ0丁になって、再び「フヒー」とか言いながらシャワーを浴び、サッパリとして帰途に着くのでした。

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